くまのまえブログ

B型肝炎

 今日はB型肝炎における『HBVキャリア』のお話をしたいと思います。

 

 HBVキャリアとは?

 “HBs抗原陽性”のことを指します。B型肝炎ウイルスに持続感染している状態ですが、HBVキャリアのすべての人が肝炎を発症しているわけではありません。HBVキャリアの中には、症状や肝機能異常がまったくない「無症候性キャリア」の方が多くいます(下記はB型肝炎の自然経過フローチャートです。B型肝炎治療ガイドラインより抜粋)。

 f:id:kumanomae-fc:20181013083747p:plain

 

日本では、HBV感染者が110-140万人いると言われており、その多くは母子感染防止策が施される前に母子感染してしまった方です。

 

 母親がHBVに感染していると、出産時の産道で血液を介して赤ちゃんが感染してしまう恐れがあります。乳幼児は免疫機能が未熟で、HBVに感染してもウイルスを異物だと認識しにくく、また認識できても排除する能力が弱いためウイルスが肝細胞にすみついてしまいます。この状態が「無症候性キャリア」です。15-30歳ごろに免疫機能が発達し、ウイルスを体内から排除しようと肝細胞を攻撃し始めるため、一過性に肝炎を発症します。10-15%の方は肝炎の状態が続く、慢性肝炎と呼ばれる状態に移行しますが、85-90%の方は免疫の働きでウイルスの増殖が抑えられ、肝炎も沈静化した状態の「非活動性キャリア」となります。しかし、非活動性キャリアはウイルスが完全に排除されたわけでなく、肝細胞内にはウイルスが残存しています。ウイルス増殖が盛んになってHBV-DNA量が増えると、肝炎が再燃⇒慢性肝炎⇒肝硬変⇒肝がんへ移行してしまうこともあるため油断は禁物です!!

 

  以上より、キャリアの方でも継続的な定期検査が大切になります。

  B型肝炎についてのお問い合わせや治療介入などのご希望がございましたら、当クリニックにご相談ください。肝臓専門医による診療が可能です(^ -^)b

 

くまのまえファミリークリニック