くまのまえブログ

当院における糖尿病診療:インスリンの分泌機構について

糖尿病の診療において、インスリンは非常に重要な役割を果たします。今回は、糖尿病治療薬を理解するために欠かせないインスリンの分泌機構についてご紹介いたします。

 

① インスリンの分泌から血糖降下までの流れ

インスリンの分泌はどのように行われるのでしょうか。血中のグルコースは、糖輸送担体であるGLUT2を介して膵臓のランゲルハンス島B細胞内に取り込まれます。取り込まれたグルコースは、解糖系、TCAサイクル(クエン酸回路)、電子伝達系を通じて代謝され、ATP(細胞のエネルギー源)が生成されます。

ATPの生成により、ATP依存性K+チャネルが閉じ、細胞内のカリウム(K+)濃度が上昇します。これにより細胞膜が脱分極し、電位依存性Ca2+チャネルが開き、カルシウム(Ca2+)が細胞内に流入します。カルシウムの増加が引き金となり、分泌顆粒内のインスリンが血中に放出されます。

血中に分泌されたインスリンは、筋肉や脂肪組織にあるインスリン受容体に結合し、これを活性化します。この活性化により、細胞内のGLUT4が細胞膜に移動し、グルコースの細胞内取り込みが促進されます。結果として血糖値が低下します。

 

② GLUT2、GLUT4とは

GLUT2GLUT4は、いずれも糖輸送担体であり、グルコースを細胞内外で輸送します。

● GLUT2は膵臓のβ細胞や肝細胞に存在し、インスリン非依存的に機能します。

● GLUT4は筋肉や脂肪細胞に存在し、インスリン依存的に機能します。インスリンがインスリン受容体に結合すると、GLUT4は細胞膜に移動し、グルコースの細胞内への取り込みを促進します。

 

③ 解糖系、TCAサイクル、電子伝達系とは

これらの経路は、グルコースをエネルギーに変換する重要なプロセスです。

● 解糖系:グルコースは10段階の反応を経て、ピルビン酸(または乳酸)に分解され、その過程で2モルのATPが生成されます。

● クエン酸回路(TCAサイクル):解糖系で生成されたピルビン酸はアセチルCoAに変換され、クエン酸回路に入ります。ここで2モルのATPが生成され、またNADHやFADH2などの補酵素も生成されます。

● 電子伝達系:NADHやFADH2がミトコンドリア内膜に移行し、酸化される過程で得られたエネルギーを用いてATPが合成されます。この反応は酸化的リン酸化と呼ばれます。

これらの反応によって、グルコース1分子から最大38モルのATPが生成され、細胞に必要なエネルギーが供給されます。

 

④ 当院での治療について

当院では、日本糖尿病協会の糖尿病認定医が、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を行っています。インスリン治療に加えて、SGLT2阻害薬などの薬物治療も取り入れ、患者様に最適な治療プランを提案しております。

糖尿病に関するお悩みや治療についてご相談がある方は、ぜひお気軽にご来院ください。スタッフ一同、皆様のご来院を心よりお待ち申し上げております。

くまのまえファミリークリニック