くまのまえブログ

当院の骨粗鬆症診療:各論①

骨粗鬆症は、骨密度(骨量)の低下や骨質の劣化が進行し、骨折が起こりやすくなる疾患です。今回は骨粗鬆症の各論について詳しくお話しさせていただきます。

 

① 骨粗鬆症の病態

骨は常に新陳代謝を繰り返しており、古い骨が吸収され、新しい骨が形成される「骨の再構築(リモデリング)」が行われています。骨粗鬆症では、この骨吸収(骨を壊す過程)と骨形成(骨を作る過程)のバランスが崩れることによって生じます。特に骨吸収が骨形成を上回ると、骨密度が低下し、骨がもろくなっていきます。

 

② 疫学:

骨粗鬆症は年齢が上がるにつれて有病率が高くなり、特に閉経後の女性に多く見られます。閉経に伴って卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌が減少します。エストロゲンは骨吸収を抑制する作用があるため、その減少により骨粗鬆症のリスクが増加します。

 

③ 骨量が減少する原因:主な原因には以下のようなものがあります。

1. 閉経や加齢

2. カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの栄養素の不足

3. 内分泌疾患(例:クッシング症候群など)

4. 副腎皮質ステロイド薬の長期使用(糖質コルチコイドによる骨吸収促進作用)

 

④ 骨折の好発部位

骨粗鬆症による骨折は特に以下の部位で起こりやすいです:

● 脊椎(背骨)

● 大腿骨頸部(太ももの付け根の骨)

● 橈骨遠位端(手首の骨)

これらの部位は骨粗鬆症の進行により脆弱となり、軽い衝撃でも骨折を引き起こすことがあります。

2024年度の医師国家試験 118D15にも出題されました。

 

 

⑤ 当院の骨粗鬆症診療

当院では、骨粗鬆症をはじめとするさまざまな疾患に対して、日本内科学会総合内科専門医による質の高い診療を提供しています。患者様一人ひとりに合わせ、食事指導や運動療法を取り入れた総合的な治療プランをご提案しています。骨粗鬆症の診断や治療に関しては、専門的な知識と経験を基にしたアプローチを行っており、安心してご相談いただけます。定期的な骨密度測定や必要な栄養素の補充、適切な運動など、患者様に最適なサポートを提供いたします。

ご相談はお気軽に

骨の健康は生活の質に大きな影響を与えますので、少しでも不安に思われる方は早期の相談をお勧めします。

 

参考文献

Premiere Book Part.7:Micelle

 

骨粗鬆症についての、過去のくまのまえブログは下記を参照してください。

当院の骨粗鬆症診療:骨の構造・骨の代謝回転について」。

② 「当院の骨粗鬆症診療:カルシウムイオン(Ca²⁺)の体内動態について」。

③ 「当院の骨粗鬆症診療:ビタミンD3の活性化機序について」。

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