くまのまえブログ

当院の骨粗鬆症診療:治療編①

今回は骨粗鬆症の治療薬についてお話しします。治療薬は大きく3つに分けられます。以下の表に示したように、骨代謝調節薬、骨吸収抑制薬、骨形成促進薬です。今回は、エストロゲン製剤とSERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)について比較を交えて解説します。

 

表1:骨粗鬆症治療薬の分類

 

① エストロゲン製剤

● 一般名:エストラジオール

● 作用:エストロゲン製剤は、骨のエストロゲン受容体を刺激することにより、破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨芽細胞による骨形成を促進します。また、カルシトニンの分泌を促進する作用もあります。エストロゲンは骨吸収抑制作用があり、骨の健康を支える重要なホルモンです。

● 副作用:静脈血栓塞栓症などがあり、特に高リスク患者では使用に注意が必要です。

● 特徴

   ○ エストロゲン感受性疾患(乳がんや子宮体がんなど)の発生リスクが増加する可能性があるため、使用には慎重を期する必要があります。

   ○ 主に閉経後骨粗鬆症の治療に使用されます。

 

② 選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM:サーム)

● 一般名:ラロキシフェン(商品名:エビスタ)

● 一般名:バセドキシフェン(商品名:ビビアント)

● 作用:SERMは骨のエストロゲン受容体にアゴニストとして作用し、エストロゲン様の骨吸収抑制作用を示します。一方、乳腺や子宮のエストロゲン受容体にはアンタゴニストとして作用し、エストロゲン感受性疾患(乳がんや子宮体がんなど)の発生リスクを抑えることができます。

   ○ アゴニスト:受容体に結合して、生体内物質と同様の細胞内情報伝達を引き起こす薬物。

   ○ アンタゴニスト:受容体に結合するが、生体反応を引き起こさず、他の物質との結合を阻害する薬物。

● 副作用:静脈血栓塞栓症などが報告されています。特に寝たきりの患者には禁忌とされています。

● 特徴

   ○ エストロゲン感受性疾患(乳がんや子宮体がんなど)のリスクが少ないため、乳がん歴のある患者にも使用されることがあります。

   ○ 主に閉経後骨粗鬆症の治療に使用されます。

 

まとめ

エストロゲン製剤とSERMは、どちらも閉経後骨粗鬆症の治療に有効ですが、それぞれに特徴があります。エストロゲン製剤は骨の健康をサポートする一方で、エストロゲン感受性疾患に対するリスクが高くなります。一方、SERMはエストロゲン感受性疾患のリスクを低く抑えるため、より使いやすい薬剤と言えます。

次回のブログでは、ビスホスホネート製剤についてお話しします。骨粗鬆症は早期の対応が非常に重要ですので、気になる方は早めにご相談ください。

 

参考文献

Premiere Book Part.7:Micelle

 

骨粗鬆症についての、過去のくまのまえブログは下記を参照してください。

当院の骨粗鬆症診療:骨の構造・骨の代謝回転について」。

② 「当院の骨粗鬆症診療:カルシウムイオン(Ca²⁺)の体内動態について」。

③ 「当院の骨粗鬆症診療:ビタミンD3の活性化機序について」。

④ 「当院の骨粗鬆症診療:骨粗鬆症(各論①)」。

⑤ 「当院の骨粗鬆症診療:骨粗鬆症(各論②)」。

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