📚機能性胃腸疾患:アコチアミドについて
当院では、機能性胃腸疾患(Functional Gastrointestinal Disorders, FGIDs)に関する専門的な診療を行っております。
検査で異常が見られないにもかかわらず、慢性的な胃腸の不調を引き起こす疾患であり、代表的なものに機能性ディスペプシア(以下FD)や過敏性腸症候群(IBS)があります。
今回は、FDの治療においてよく処方される「アコチアミド(商品名:アコファイド🄬)」についてご紹介いたします。
💊 アコチアミドとは?
アコチアミドは、2013年に日本で開発され、世界で初めてFDへの適応を持つ薬剤として承認された消化管運動機能改善薬です。
特に、「食後愁訴症候群(PDS)」タイプのFDに対して効果があるとされ、
たとえば以下のような症状が対象となります
● 食後の胃もたれ
● 早期飽満感(少量の食事で満腹になる)
● 胃の張り感
⚙️ アコチアミドの作用機序
アコチアミドは、アセチルコリンエステラーゼ(以下AChE)阻害薬に分類されます。
アセチルコリン(以下Ach)は、コリン作動性神経終末から遊離され、消化管平滑筋のムスカリン受容体に結合し、消化管を収縮させることにより胃の運動を促進する神経伝達物質です。AChEはAChを分解する酵素です。アコチアミドはこのAChEの働きを抑えることで、アセチルコリンの作用を長く保ち、胃の収縮や運動機能を改善します。
服用は1日3回、毎食前に行います。
✅ 臨床試験での効果
日本国内で実施された大規模な臨床試験(n=1,156)では、アコチアミドはプラセボと比較して有意な効果が確認されています。
● 食後の胃もたれや早期飽満感があるPDSタイプに対して、特に有効性が認められています
● 一方で、みぞおちの痛みを主とするEPSタイプへの効果は限定的とされています
● 副作用(有害事象)の発現率は、プラセボと大きな差はありません
さらに、複数のランダム化比較試験(RCT)を含むシステマティックレビューや、Cochraneレビューでもその有効性が支持されています。
🔍 FD(機能性ディスペプシア)にみられる主な症状
FDが疑われる代表的な症状には、以下のようなものがあります:
● 食後の胃もたれ
● すぐに満腹になる
● 胃の痛みや不快感
● 胸やけやげっぷ
● 吐き気・嘔吐
● 腹痛・下痢
● ガスのたまりや腹部膨満
● 慢性的な便秘
これらの症状は、消化管の運動異常や知覚過敏によって起こることが多く、
器質的な異常が見つからないため、丁寧な問診と検査が必要です。
🧘♂️ ストレスと自律神経の関係
消化管の機能は自律神経によってコントロールされており、ストレスや生活習慣の乱れがそのバランスを崩すと、胃腸の症状として現れることがあります。
現代社会ではストレスが日常的であるため、心身両面からのアプローチが治療において重要になる場合もあります。
🏥 ご相談ください
長期間にわたる胃腸の不調や、食後の不快感にお悩みの方は、
ぜひ当院の機能性胃腸疾患外来へご相談ください。
消化器病専門の医師が、症状やライフスタイルに合わせて、アコチアミドを含む最適な治療をご提案いたします。
ご予約・お問い合わせは
📞 TEL:052-876-3351
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