くまのまえブログ

🏥小児科:百日咳(ひゃくにちせき)ってどんな病気?

こんにちは😊
今回は、お子さまの感染症のひとつ 「百日咳(ひゃくにちせき)」 についてご紹介します。

「名前は聞いたことあるけど、実際はよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか?
実はこの病気、特に赤ちゃんがかかると重症化しやすい んです。

この記事を通して、正しい知識と対策を一緒に確認していきましょう!

 

🦠 百日咳とは?

百日咳は、「百日咳菌(Bordetella pertussis)」という細菌による 急性の気道感染症 です。
名前のとおり、長期間(時に100日近く)咳が続く のが特徴。

特に赤ちゃんや乳児は重症化しやすく、痙攣性の連続した咳 が夜間にひどくなることもあります。

 

😷 百日咳の症状と経過

百日咳の経過は、おおまかに3つの段階に分かれます:

① カタル期(初期:1~2週間)

● もっとも 感染力が高い 時期です

● 鼻水・軽い咳など、風邪のような症状 が中心

● 熱はほとんど出ません(出ても微熱程度)

● 徐々に咳が強くなっていきます

 

② 痙咳期(けいがいき:2~6週間)

痙攣するような連続する咳発作 が特徴

咳のあとに「ヒューッ」という 吸気時の音(吸気性の笛声が聞こえることも

乳児ではこの特徴がなく、以下のような症状が現れることもあります:

無呼吸発作

○ チアノーゼ(顔色が紫)

百日咳顔貌(顔面浮腫・結膜充血など)

 

🧠 合併症

● 肺炎(最も多い死因)

● 中耳炎

● 脳症(後遺症を残すことも): けいれん 

 

③ 回復期(2~3週間)

咳は徐々に減っていきますが、しばらく残る ことも

 

🧑‍⚕️【参考】医師国家試験でも出題された!

百日咳は、実際に医師国家試験にも出題される重要な感染症です。
ここでは、2024年(令和6年)実施の第118回 医師国家試験から、百日咳に関する問題を紹介します。

📝 【問題 118A63】

22歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。
1週間前から微熱と咳嗽が出現し改善しないため受診した。
両親と弟と同居しており、2週間前に16歳の弟が同様の症状で百日咳と診断されている。
昨日から反復性、発作性の咳嗽が持続しており、咳は夜間に強い。

意識:清明、 体温:37.1°C、 脈拍:108/分(整)、 血圧:124/68 mmHg、 呼吸数:22/分、 SpO₂:98%(room air)

心音と呼吸音に異常は認めない

 

❓【設問】この疾患で正しいのはどれか。

a. 空気感染する。

b. 潜伏期は2、3日である。

c. 痙咳期に呼気喘鳴を聴取する。

d. セフェム系抗菌薬が有効である。

e. カタル期には核酸増幅検査が診断に有用である。

 

✅【正解】e. カタル期には核酸増幅検査が診断に有用である。

 

🔍【解説】

カタル期(初期)は、風邪のような軽い症状が中心で、百日咳だと判断しにくい時期です。
しかし、この時期こそが最も感染力が強く、早期診断と治療開始が重要なフェーズになります。

この時点での診断には、PCR法などの核酸増幅検査が非常に有効です。
一方で、以下の選択肢は誤りです:

● a. × 空気感染ではなく、飛沫感染が主な経路です。

● b. × 潜伏期は通常7〜10日(1~3週間)です。

● c. × 痙咳期に聞かれるのは「吸気性喘鳴(笛声)」で、呼気喘鳴ではありません。

● d. × セフェム系ではなく、マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシンなど)が有効です。

 

🛑 感染経路と潜伏期間

主な感染経路は 飛沫感染

咳やくしゃみで飛び散った細菌が、近くの人の鼻や口から体内へ

● 接触感染(ドアノブ、手すりなど)も注意!

潜伏期間:7~10日(最大3週間)

 

💉 百日咳は予防接種で防げる!

最も効果的な予防法は、ワクチン接種 です。

使用されるワクチン(定期接種)

5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)

○ 百日咳、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、Hibを予防

標準スケジュール:生後3か月~90か月未満で4回接種

 

⚠ ワクチン効果は年数とともに弱まるため、
大人や中高生でも再感染することがあります!

➡ 赤ちゃんを守るには、家族全員の体調管理・衛生習慣 が大切です。

 

🧪 百日咳の診断と治療

🧬 診断

  • 子ども:特徴的な症状からの 臨床診断 が多い
  • 大人:PCR法、LAMP法などの 遺伝子検査 や血液検査が必要(保険適用あり)

💊 治療

マクロライド系抗菌薬

例)アジスロマイシン(5日間)、クラリスロマイシン(7日間)

必要に応じて:咳止め・去痰薬・気管支拡張薬

 

👶 大人も百日咳にかかる?

実は、大人もかかる病気 です。
症状が軽く、風邪と間違えやすい のが特徴。

そのため…

➡ 知らないうちに赤ちゃんにうつしてしまう ケースも😢

子ども・乳児の場合

● 6か月未満の赤ちゃんは特に注意!

● 呼吸停止やけいれんを伴うことも 

 

🏠 家庭でできる感染対策

● 手洗い・うがいの徹底

● 咳が出る人は マスクの着用

● ドアノブ・スイッチなどの アルコール消毒

 

🌟 最後に:早めの受診と予防がカギ!

百日咳は、早期発見・早期治療がとても大切な病気です。
特に赤ちゃんにとっては命に関わることも。

もし「いつもと違う咳」「呼吸の異常」などがあれば、すぐに受診してくださいね。
また、大人も含めて 家族みんなで予防意識を持つ ことが、赤ちゃんを守る大きな一歩です✨

 

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