認知症サポート医養成研修会
令和6年9月14日に札幌で開催された認知症サポート医の養成研修会に参加しました。
研修会開催前に自宅でeラーニングを用いた講義を受け、テストに合格していることが参加条件でした。当日は講義とグループディスカッションがあり、ディスカッションでは全国からの参加者をグループ分けし、”認知症サポート医が果たす役割”について、それぞれのグループで討論を行いました。私が属したグループは、私以外が総合病院の勤務医でした。総合病院でも認知症専門医が在籍していない病院では、認知症サポート医として認知症診療の中心的役割を担う方も数名いらっしゃいました。私は開業医としての認知症サポート医の役割について、日常診療で行っていることを中心にお話させていただきました。
認知症サポート医の役割は地域ごとに異なると思いますが、具体的には3つが挙げられます。
1)認知症の人の医療・介護に関わるかかりつけ医や介護専門職に対するサポート
2)地域包括支援センターを中心とした多職種の連携づくり
3)かかりつけ医認知症対応力向上研修の講師や住民等への啓発など
これらの活動を通じて、地域における”連携の推進役”としての役割が期待されています。認知症の診断には頭部MRI撮影が必要ですが、地域によっては検査ができない総合病院もあり、診断を難しくしているようです。都会と比べて過疎地では専門医がほとんど在籍していない病院もあり、医療体制に差があることを再認識しました。
名古屋市内では診断のために、頭部MRI撮影が可能な病院で検査を行います。その時点で診断が困難な場合には精密検査のために基幹病院(大学病院含む)を紹介します。診断ができたら、内服治療を開始します。後日、介護認定の結果を踏まえ、ケアマネージャーさんと相談しながら、利用可能なサービスを提案していきます。その他に認知症カフェなどの情報提供も行います。
物忘れが疑われた場合には診断を受けることが必要です。加えて、介護認定を受けることが重要となり、役所へ出向いて手続きをするようお伝えしています。デイサービスなどの社会資源を活用することも大切な治療の一環です。物忘れが気になる方や、ご家族が認知症になりお困りの方は、当院に受診していただければと思います。