くまのまえブログ

潰瘍性大腸炎の新しい薬が処方可能となりました!

 今回は、2022年5月30日から処方可能となった、潰瘍性大腸炎の新しい薬について、お話をさせていただきます。

 

 「カログラ」という製品名で、内服薬になります。作用機序はリンパ球のT細胞に発現している2つのタンパク質を阻害することで炎症を抑えます。炎症反応を抑制できるため、潰瘍性大腸炎の症状緩和に効果を発揮すると考えられています。T細胞の働きについては割愛させていただきます。

 

 一般臨床の標準治療で用いられている、5-アミノサリチル酸製剤(メサラジン、サラゾスルファピリジン)を使用しても症状が改善しない場合に、次の一手として期待されています。

 

 用法・用量は、成人では1回に8錠(960mg)を毎食後(1日に24錠)に内服する必要があります。内服期間は最大で6か月になります。

 

 副作用は、1-5%未満に肝機能異常、AST増加、LDH増加、頭痛、悪心、腹部不快感、白血球数増加、関節痛、尿中蛋白陽性、上咽頭炎、上気道の炎症、発熱、CRP増加などが報告されています。また頻度不明ですが、進行性多巣性白質脳症(PML)と呼ばれる重篤な病気があります。

 

  臨床試験(AJM300/CT3試験)での成績は、以下の通りです。

 標準治療である、5-アミノサリチル酸製剤を使用してもコントロールできなかった、中等症活動期の患者さんに8週間投与しています。

 改善率は、プラセボ群(本物の薬と同様の外見、味、重さをしているが、有効成分が入っていない薬を飲んだグループ)では20.8%、カログラを投与した群の改善率は45.1%で、有意に効果を認めました。

 

 カログラを試してみたい方、潰瘍性大腸炎でお困りの方、また下痢や腹痛、血便などの症状が長く続いている方は、当院にご相談ください。

くまのまえファミリークリニック