潰瘍性大腸炎(UC) -JAK阻害剤編-
今回は炎症性腸疾患(特にUC)で使われる分子標的薬の中のJAK阻害剤と呼ばれるお薬についてお話させていただきます。
治療原則として、まずは5-アミノサリチル酸(5-ASA)、ステロイド(PSL)などの治療を行うことが重要です。当院も下記の図に示したような原則に則り、治療を行っています。
JAK阻害剤により、サイトカインの細胞内シグナル伝達であるJAKを阻害することにより抗炎症効果が期待できます。
日本で使うことができるJAK阻害剤はTofacitinib(TOF、商品名ゼルヤンツ)、Filgotinib(FIL、商品名ジセレカ)、Upadacitinib(UPA、商品名リンヴォック)があります。経口内服薬のため、導入しやすいお薬になります。
いずれも効果の発現が早く、特にUPAでは便回数や出血は1日目、腹痛や便意切迫も3日目には改善したとの報告もあります。それぞれの薬で良好な寛解率や有効率を認めておりますが、現時点では3種類の薬の明確な使い分けは確立していません。
安全性ですが、JAK阻害剤は帯状疱疹発症のリスクを高めます。特に高用量では薬の有効性も高くなりますが、帯状疱疹の発症に注意が必要です。
当院には多くの潰瘍性大腸炎の患者さんが来院し、ガイドラインに沿った適切な治療を提供しております。血便・下痢が続いてお困りの方や、すでに診断されているが症状の改善が乏しい方、治療の継続をご希望の方など受診していただければと思います。