くまのまえブログ

アルコール依存症治療薬

 今回は当院で処方しているアルコール依存症に対する薬についてお話します。
 
 当院ではアルコール性肝炎の患者さんで、断酒を希望される方に、セリンクロ(オピオイド受容体拮抗薬)という飲み薬を処方しております。
 
 多量にアルコールを摂取すると肝臓に炎症がおきます。肝炎が重症化することなく長期的に多量の飲酒を継続すると、肝臓の線維化が進行して肝硬変という状態に至ってしまいす。致命的にもなりうる病態であり、注意が必要です。
 
 アルコール依存の治療は、断酒の達成と断酒の継続と言われています。減酒の目標値を決めて、毎日の摂取量や状況を記録します。飲酒量を記録することで、飲酒のタイミングや量をコントロールできる感覚を取り戻していくことができます。
 
 当院で使用しているセリンクロという薬はオピオイド受容体を阻害することで、飲酒欲求を減らします。飲酒の1〜2時間前に服用すると飲酒しても以前ほどのおいしさを感じなくなり、結果的に飲酒量が減少します。
 
 セリンクロを半年間服用すると、大量飲酒の日数が1ヶ月あたり2~3日減少し、1日の平均的なアルコール量が約10g減少します。また4割の方で、1日のアルコール量を低リスクレベル(男性40g以下、女性20g以下)まで下げることができたと報告されています。頻度が多い副作用は吐き気、めまい、頭痛などですが、いずれも症状は軽く、治療開始時に一時的に生じる場合がほとんどです。副作用で治療を継続できない方は1〜2割です。
 
 アルコールに伴う肝障害を疑われた方は当院を受診して頂ければと思います。肝機能のフォローとお酒の減量など、お手伝いできると思います。
くまのまえファミリークリニック