ヒトメタニューモウイルスについて知っておきたいこと
最近、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)が注目されています。2001年に発見されたこのウイルスは、1月から6月にかけて流行することが多く、特にインフルエンザの流行が落ち着いた後、3月から4月にかけて多くの感染が確認されています。特に小さなお子さんがかかりやすいウイルスです。今回は、ヒトメタニューモウイルスの特徴や症状、治療についてご紹介します。
- ヒトメタニューモウイルスとは?
ヒトメタニューモウイルスは、呼吸器系に影響を与えるウイルスで、風邪や肺炎の原因となることがあります。感染力が比較的高いため、特に小さなお子さんや免疫力が低い方にとっては注意が必要です。ウイルス性呼吸器感染症の原因として、小児では約5~15%、成人では2~4%がヒトメタニューモウイルスによるものとされています。
- 潜伏期間と感染方法
ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間は、約4~5日とされています。感染経路は主に飛沫感染です。感染者が咳やくしゃみをすることによって飛沫が広がり、それを吸い込むことで感染が拡がります。また、ウイルスは表面に付着し、接触感染する場合もありますので、手洗いやアルコール消毒をこまめに行うことが予防につながります。
- 症状
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、発熱、咳、鼻水、喉の痛みなどが現れることが一般的です。症状は風邪に似ていますが、特に咳は多くの場合1週間程度続きます。また、発熱も通常4~5日続きます。喘鳴(ぜーぜー音を伴う呼吸)が60%近くの方にみられ、5日ほど続くことがあります。気管支喘息の方では、喘息発作が起こることもあります。合併症としては、喘息性気管支炎が36.8%、中耳炎が15.8%、肺炎が14%、熱性けいれんが3.5%に発症したという報告もあります。
- 検査
ヒトメタニューモウイルスに対しては迅速検査があり、6歳未満のお子さんは保険適用となります。検査方法はインフルエンザの検査と同様で、専用の綿棒で鼻の奥から鼻水を採取して検査を行います。結果は約10分程度で判明します。
- 治療
現在、ヒトメタニューモウイルスに対する特効薬はありませんが、症状を和らげるための治療が行われます。発熱や咳を軽減する薬が処方されることがあります。もし呼吸困難や重篤な症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
- 保育園・学校への登園はいつまで?
明確な基準はありませんが、ヒトメタニューモウイルスにかかった場合、症状が治まるまで保育園や学校への登園は控えた方が良いでしょう。発熱が収まると、ウイルスの排泄はほぼなくなると言われていますが、咳が続く場合には登園を見合わせた方が良いかもしれません。登園のタイミングについては、かかりつけの先生と相談しましょう。
- 当院について
当院は地域のホームドクターとして、新生児からお年寄りまで幅広い年齢層の方々の診療を行っています。ヒトメタニューモウイルスをはじめとする風邪や感染症の検査・治療、また生後2ヶ月からの予防接種にも対応しています。何か気になる症状があれば、ぜひお気軽にご来院ください。