くまのまえブログ

当院の腸活外来:腸内細菌叢について

腸内環境の改善に注目が集まる中、腸活を行うために欠かせないのが「腸内細菌叢」です。今回は、この腸内細菌叢について詳しくお話しします。「腸内細菌叢」は、腸の中でさまざまな役割を果たしており、まさに「もうひとつの臓器」と言われる所以です。

 

①腸内細菌叢とは

「腸内フローラ」という言葉をご存じの方も多いと思います。腸内、特に大腸では、腸壁にさまざまな種類の細菌が集まって集団を形成し、まるでお花畑のように見えるため、これを「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼びます。実際には、腸内の常在細菌叢は、私たちの体の一部として、消化管や皮膚、口腔内などに存在し、膨大な数と種類を持っています。これらの細菌は私たちの健康を支える重要な役割を担っています。

 

②腸内細菌叢の働き

腸内細菌叢は、私たちの健康に多くの影響を与えています。具体的には、以下のような働きがあります:

● 消化吸収のサポート:食べ物の消化を助け、栄養素を効率よく吸収します。

● 必須栄養素の生成:ビタミンB群や短鎖脂肪酸など、私たちが必要とする栄養素を作り出します。

● 臓器機能の調整:腸内細菌叢は、腸だけでなく、免疫系や代謝系、さらには心身の健康にも影響を与えます。

 

③ディスバイオシス(腸内細菌叢の乱れ)

腸内細菌叢には、善玉菌、悪玉菌、そして日和見菌が存在します。善玉菌(ビフィズス菌など)は腸内を弱酸性に保つことで、悪玉菌(大腸菌など)の増加を抑え、体調を整えます。一方、悪玉菌は一定量であれば体に有益ですが、過剰になると様々な健康問題を引き起こす原因となります。日和見菌は、腸内の状態に応じて善玉菌または悪玉菌に寄与する特徴があります。理想的な腸内環境は、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の割合で、このバランスが崩れると、腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオシス)となり、様々な病気を引き起こす可能性があります。

 

④腸内細菌叢と関連が考えられる病気

腸内細菌叢は、以下のような多岐にわたる病気と関連しています:

● 消化器系疾患(便秘、下痢、過敏性腸症候群など)

● アレルギーや免疫疾患

● 肥満や糖尿病などの代謝疾患

● 循環器系疾患(動脈硬化など)

● 腎疾患、がん、神経疾患(アルツハイマー、パーキンソン病、うつ病など)

腸内細菌叢のバランスが崩れることで、これらの疾患が引き起こされることがあります。

 

⑤腸内細菌叢のバランスを保つために

腸内細菌叢のバランスを維持するためには、プレバイオティクスが非常に重要です。プレバイオティクスは腸内で善玉菌の栄養源となり、善玉菌を増やす手助けをします。プレバイオティクスは腸内で最も多くの細菌が存在する大腸に届きやすい特徴を持ち、腸内環境を整える役割を果たします。これに対して、プロバイオティクスは胃内に存在する胃酸でほとんどが死滅するため、生きた菌が大腸に届きません。

プレバイオティクスについては、くまのまえブログ当院の腸活外来:プレバイオティクスについてを参照してください。

 

⑥当院の腸活外来

当院では、腸内環境の改善を目指すため、消化器病の専門医が腸内細菌叢のバランスを整えるための個別対応を行っています。腸内フローラの改善に向けたプレバイオティクスの活用法についてのアドバイスも行っております。腸内環境に不安を感じている方や、腸活を始めたいとお考えの方は、ぜひ当院の腸活外来にご相談ください。

専門的な知識と治療法で、あなたの腸内環境をサポートいたします。健康な腸内を育て、より良い生活を目指しましょう。

 

参考文献:常在細菌叢を制御せよ! プレバイオティクスが作り出す未来  廣岡 芳樹 :2025 , 宝島社 

くまのまえファミリークリニック