当院の骨粗鬆症診療:治療編②
今回は骨粗鬆症における骨吸収抑制薬の一つであるビスホスホネート製剤についてお話しします。以下に骨粗鬆症治療薬の分類を再度お示しします。
表1 骨粗鬆症治療薬の分類

① ビスホスホネート製剤
● 一般名: リセドロン酸(先発品:ベネット、アクトネル)
● 一般名: アレンドロン酸(先発品:ボナロン、フォサマック)
● 一般名: ミノドロン酸(先発品:ボノテオ、リカルボン)
● 一般名: エチドロン酸(先発品:ダイドロネル)
作用:
ビスホスホネート製剤は、ヒドロキシアパタイト(注1)と高い親和性を示し、破骨細胞に取り込まれます。これにより、破骨細胞のアポトーシス(注2)が誘導され、骨吸収が抑制されます(表2)。
表2 ビスホスホネート製剤の作用機序

Premiere Book Part.7:Micelleより転載
○ 注1: ヒドロキシアパタイト(別名:水酸化リン酸カルシウム)は、骨基質の重要な成分であり、カルシウムとリン酸を主成分とする無機基質です。骨の強度を維持する役割を果たします。
○ 注2:ファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素(破骨細胞の増殖に必要な酵素)を阻害し、破骨細胞をアポトーシスへ導きます。
副作用:
● 顎骨壊死(がっこつえし)
● 低カルシウム血症(破骨細胞のアポトーシスにより骨吸収が抑制され、血中のカルシウム移行が低下するため)
特徴:
● 服用方法: 空腹時(起床時)に200ml以上の水と一緒に服用します。
● 服用後の注意: 服用後30分間は横にならないように注意しましょう。薬が食道に停滞すると、食道炎や潰瘍を引き起こす可能性があります。
● 飲み合わせの注意: 食後に服用すると、金属イオンとキレート(注1)を形成して吸収が低下する可能性があります。また、カルシウムやマグネシウムを多く含むミネラルウォーターでも飲用を避ける必要があります。
○ 注1: キレートとは、多座配位子が金属イオンと結びつく現象(配位結合すること)です。カルシウムイオンやマグネシウムイオンは薬剤の吸収を抑制するため、これらと結びつくことによって消化管からの吸収遅延を引き起こします。
次回のブログでは、抗RANKL抗体、カルシトニン製剤、イソフラボン製剤についてお話しします。
骨粗鬆症は早期に対応することが非常に重要ですので、気になる方は早めにご相談ください。
参考文献
Premiere Book Part.7:Micelle
骨粗鬆症についての、過去のくまのまえブログは下記を参照してください。
① 「当院の骨粗鬆症診療:骨の構造・骨の代謝回転について」。
② 「当院の骨粗鬆症診療:カルシウムイオン(Ca²⁺)の体内動態について」。
③ 「当院の骨粗鬆症診療:ビタミンD3の活性化機序について」。
④ 「当院の骨粗鬆症診療:各論①」。
⑤ 「当院の骨粗鬆症診療:各論②」。
⑥ 「当院の骨粗鬆症診療:治療編①」。




