くまのまえブログ

アレルギー性鼻炎:定義と分類

アレルギー性鼻炎にお困りの方は、日本でも非常に多くいらっしゃると思います。今回は、アレルギー性鼻炎について、特に「定義」と「分類」について解説したいと思います。

 

I. 定義 (Definition)

アレルギー性鼻炎(Allergic Rhinitis)は、鼻粘膜に発生するⅠ型アレルギー反応を特徴とする疾患です。3主徴は発作性反復性のくしゃみ鼻漏(水様性)鼻閉です。この疾患はアレルギー素因を持つ方に発症しやすく、アレルギーの既往歴や家族歴、アレルギー合併症などが関係しています。また、血清中の特異的IgEレベルの上昇、マスト細胞の増加、局所および血液中の好酸球の増加、さらに粘膜の過敏性亢進が見られるのが特徴です。

 

II. 病名 (Nomenclature)

アレルギー性鼻炎は、さまざまな名称で呼ばれることがあります。例えば、鼻過敏症、鼻アレルギー、花粉症などが使われます。

 

III. 分類 (Classification)

鼻炎とは、鼻粘膜の炎症を指し、病理学的には滲出性炎症に分類されます。この炎症の中で多く見られるのは、感染性炎症とアレルギー性炎症です。どちらも血管からの液性成分の滲出、浮腫、細胞浸潤、分泌の増加を特徴としており、診断の際にはこれらを基に分類されます。臨床では、アレルギーや感染などによる鼻炎が多く見られます。

 

① 感染性鼻炎

感染性鼻炎は、ウイルスや細菌などによる感染が原因で引き起こされ、急性鼻炎(いわゆる鼻かぜ)や慢性鼻炎に分類されます。また、篩骨洞や中鼻道を中心に鼻腔に病変をもつ感染性副鼻腔炎などもこの分類に該当します。

 

② アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は過敏性非感染性鼻炎の一つで、くしゃみや鼻漏(鼻水)、鼻閉が特徴的です。これらは、季節性または通年性に分けられ、季節性のアレルギー性鼻炎の多くは花粉症です。さらに、室内塵ダニアレルギーが原因の通年性アレルギー性鼻炎も多く見られます。また、血清IgE検査で陰性でも局所的なIgE産生が見られる「局所アレルギー性鼻炎(LAR)」という疾患もあります。

 

③ 非アレルギー性鼻炎

非アレルギー性鼻炎は以下のような種類に分かれます:

● 血管運動性鼻炎:自律神経の異常が主な原因とされていますが、そのメカニズムは明確ではなく、本態性鼻炎と呼ばれます。

● 好酸球増多性鼻炎:アレルギー検査が陰性であるものの、鼻水中に好酸球が増加している疾患です。鼻茸形成を示す慢性副鼻腔炎でしばしば見られます。

● 薬物性鼻炎:薬物、特に点鼻薬の乱用によって引き起こされます。

● 職業性鼻炎:職場で吸入する物質によって引き起こされる鼻炎です。化学物質が原因となることが多く、抗原回避が重要な治療方法となります。

● 老人性鼻炎:高齢者に多く見られ、鼻粘膜の萎縮が原因とされています。

● 味覚性鼻炎:刺激性の熱い食物(うどん、ラーメン、カレーライスなど)を摂取した際に起こる鼻炎です。

● 萎縮性鼻炎:稀な症例で、鼻粘膜が薄く硬くなり、鼻腔が異常に広がり、乾燥します。鼻粘膜が重層扁平上皮に置き換わることで、潤いが失われ、鼻の内側にかさぶたが多く付着します。そこに雑菌が増えることで悪臭が強い状態を「臭鼻症」と呼びます。

● 妊娠性鼻炎:妊娠中期に女性ホルモンの影響で発症します。

 

その他にも、冷気吸入性鼻炎(スキーヤー鼻として有名)や心因性鼻炎などもあります。

 

次回は、アレルギー性鼻炎の「疫学」について詳しくお話ししたいと思います。お楽しみに!

 

参考文献

鼻アレルギー診療ガイドライン – 通年性鼻炎と花粉症 – 2024年版 改訂第10版:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会、鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編

 

● アレルギー性鼻炎についての、過去のくまのまえブログは下記を参照してください。

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