📚 第310回 刈谷内科医会学術講演会を聴講しました!
こんにちは。くまのまえファミリークリニックです。
令和7年5月8日(木)、第310回 刈谷内科医会学術講演会が開催されました。会場は刈谷医師会館、そして今回はハイブリッド形式での開催ということで、Web配信を通じて当院からも聴講させていただくことができました。
🗓 開催概要
● 開催日:令和7年5月8日(木)
● 時間:20:00〜21:00
● 会場:刈谷医師会館およびWeb配信
● 主催:刈谷内科医会
● オープニングリマークス:水野内科クリニック 院長 水野 健雄 先生
● 座長:さくら中央クリニック 院長 丸野内 暢彦 先生
🧠 講演テーマ
「認知症診療の最前線 ~BPSDを中心に~」
演者:半城土とみやすクリニック 院長 富安 斉 先生
今回のご講演では、認知症診療の現状と新たな治療薬の動向、さらにBPSD(行動・心理症状)に対する対応法について、大変わかりやすく、実臨床に直結する内容で解説していただきました。
📌 学んだ主なポイント
① 認知症の将来推計と有病率の変化
近年の調査で、2040年の認知症推計患者数は2012年には953万人とされていましたが、2022年の最新推計では584.2万人と大幅に減少しています。その背景には、以下のような要因があると説明されました。
● 喫煙率の減少
● 高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の管理の改善
● 健康教育や情報の普及による予防意識の高まり
これにより、特に血管性認知症の発症率が低下しているとのことです。予防的アプローチの重要性を再認識させられるデータでした。
② アルツハイマー型認知症(AD)の症状分類
中核症状(AD共通)
● 記憶障害(新しいことを覚えられない、思い出せない)
● 失語・失行・失認
● 実行機能障害(計画・段取りができない)
周辺症状(BPSD)
● 妄想、幻覚、興奮、徘徊、暴言・暴力、不安、抑うつ、介護拒否、睡眠障害 など
これら周辺症状は患者本人の苦痛だけでなく、家族や介護者への負担、さらには医療・介護費の増加、病状の進行加速にも関与するため、非常に重要な課題です。
③ 抗認知症薬の進化
■ 症状改善薬(対症療法)
● コリンエステラーゼ阻害薬:ドネペジル, ガランタミン, リバスチグミン
● NMDA受容体拮抗薬:メマンチン
■ 疾患修飾薬(病気の進行を抑える薬)
● レカネマブ(レケンビ®):2023年12月発売
● ドナネマブ(ケサンラ®):2024年11月発売
これらの登場により、アルツハイマー病の本質的な治療が可能となる時代がいよいよ現実に。将来的な有病率の更なる低下も期待されています。
④ BPSD(行動・心理症状)とは?
BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の略で、
認知症に伴う精神・行動症状全般を指します。
主な要因
● 環境的要因(騒音・混乱など)
● 身体的要因(痛み・発熱・脱水)
● 心理的要因(不安・孤独・混乱)
● 薬剤性要因(副作用など)
影響
● 入院・施設入所の早期化
● 患者・家族のQOL低下
● 介護者の心身疲弊
● 医療・介護コストの増大
● 認知症そのものの進行加速
⑤ BPSDの治療法
■ 非薬物療法
● 認知刺激(会話・ゲーム等)
● 音楽療法・運動療法・アロマ・光療法・鍼灸
● 時間的・物理的環境の調整
● 痛みや不快の除去など身体面の配慮
■ 薬物療法(非薬物療法で不十分な場合に検討)
● ブレクスピプラゾール(レキサルティ®)
ADに伴う易刺激性・焦燥感・攻撃的行動に対する、日本で唯一保険適用のある抗精神病薬として注目されています。
→ 「本人らしい生活を取り戻すこと」、「家族や介護者の負担軽減」、そして「生活の質の向上」をめざして治療が行われます。
🏥 くまのまえファミリークリニックの取り組み
当院では、認知症サポート医としての知識と経験を活かし、地域の皆さまに寄り添った認知症診療を心がけています。最近では、認知症に関する相談やご家族の不安に対するサポートの必要性が急速に増していると感じています。
今回の講演で得られた最新の知見を、日々の外来診療に積極的に活かしていきたいと考えております。
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「もしかして認知症かも?」と不安に感じられたら、早めにご相談ください。
ご本人の診療はもちろん、ご家族のサポートや今後の生活設計についても一緒に考えてまいります。
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📌 今後も、医師会や学術講演会に積極的に参加し、最新の知識と技術を地域医療に還元してまいります。
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