当院の腸活外来:プレバイオティクスについて
腸内環境の改善は、健康維持や予防医学において非常に重要なテーマです。当院では、腸内環境を整えるための「腸活外来」を開設し、腸内フローラのバランスを整えるための様々な方法をご提供しています。今回は、「プレバイオティクス」についてご紹介します。
① プレバイオティクスとは?
プレバイオティクスは、英国の微生物学者Gibsonによって1995年に提唱された用語で、プロバイオティクスが微生物を指すのに対して、プレバイオティクスは腸内有用菌の栄養源となる食品成分を指します。具体的には、以下の条件を満たす成分です:
1. 消化管上部で分解・吸収されないこと
2. 腸内の有用菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進すること
3. 大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持すること
4. 人の健康の増進維持に役立つこと
プレバイオティクス(prebiotics)の「プレ(pre)」には「前もって(before)」という意味があり、その名の通り、腸内細菌の増殖に必要な栄養成分として、これを積極的に摂取することで腸内フローラの改善が期待できます。
② 腸内の有用菌とは?
ヒトの腸内における有用菌の中で最も有名なものの一つがビフィズス菌(Bifidobacterium)です。ビフィズス菌は、抗菌作用や体内エネルギー代謝に必要な短鎖脂肪酸(SCFA)の一種「酢酸」を産出し、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑制し、腸内の恒常性を維持します。特に、Bifidobacterium longumは乳幼児から大人まで幅広く存在し、ヒトの整腸に深く関わっています。
また、近年ではビフィズス菌に次ぐ有用菌として、「酪酸生産菌」が注目されています。これらはSCFAの「酪酸」を産出し、免疫調整や代謝改善に関連しているとされています。Faecalibacterium prausnitziiは、アレルギー疾患や生活習慣病の患者の腸内でその数が減少することが報告されており、腸内フローラの改善が健康に重要な役割を果たしていることがわかっています。
腸内フローラが乱れると便秘や下痢、免疫力の低下など、さまざまな健康問題が引き起こされる可能性があります。プレバイオティクスは、これらの有用菌を育て、腸内環境を良好に保つために役立つ成分です。
③ プレバイオティクスの種類
現在、プレバイオティクスとして認められている主な食品成分には以下のようなものがあります:
1.オリゴ糖
代表的なものには、ケストース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸などがあります。
2.食物繊維
ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デキストリン、βグルカンなどが含まれます。
〇 ポリデキストロース:水溶性の食物繊維で、便通改善や腸内環境の改善に寄与するだけでなく、コレステロールの吸収抑制や高血圧、糖尿病の予防効果も報告されています。
〇 イヌリン:菊芋、ごぼう、にんにく、玉ねぎ、チコリ、ニラなどに豊富に含まれ、腸内で善玉菌を育て、腸内フローラを改善します。
④ 当院は日本消化器病学会消化器病専門医による診療を行っています
当院の腸活外来では、消化器病の専門医が腸内環境の改善に関するさまざまなアドバイスを行い、個別に最適な治療法を提案しています。腸内フローラのバランスを整えるために、プレバイオティクスやプロバイオティクスをうまく取り入れた食事療法やサプリメントの活用法についてもご相談いただけます。
腸内環境に不安を感じている方、腸活を始めたいとお考えの方は、ぜひ当院の腸活外来にご相談ください。専門的なアドバイスと治療を提供いたします。