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アレルギー性鼻炎 :治療(各論)~プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬~

最近、花粉症の薬は薬局で手軽に購入できるようになり、多くの方が自分の症状に合った薬を選ぶことができるようになっています。しかし、内科医は処方箋が必要な薬も含めて、患者さん一人ひとりの症状に合わせた治療を行っています。花粉症の治療薬にはそれぞれ効果や副作用が異なるため、自分にぴったりの薬を見つけることが大切です。

花粉症の治療薬にはさまざまな種類があります。中でも、鼻閉(以下鼻づまり)に特に効果が高いもの、副作用が少ないもの、また症状全般を抑える効果が強いものなど、それぞれに特徴があります。今回は、薬局で購入できない専門的な薬である「プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬」について詳しくご紹介いたします。

 

プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬の特徴

この薬は、鼻づまりに特に効果が高いとされ、第二世代のヒスタミン受容体拮抗薬よりも優れた効果を示します。ただし、その効果が現れるまでには時間がかかり、最も確実に効果を感じるためには、最低でも4週間以上の服薬が必要です(表1参照)。

 

具体的な薬剤:ラマトロバン

ラマトロバンは、プロスタグランジンD2やトロンボキサンA2受容体をブロックすることで、血管透過性の亢進や鼻腔抵抗の上昇を抑制し、鼻づまりを改善します。その鼻づまりに対する効果は、第二世代の抗ヒスタミン薬よりも優れています。さらに、プロスタグランジンD2の受容体を遮断することにより、くしゃみや鼻漏(鼻水)の症状も改善する効果が期待できます。

服薬開始後、1週間ほどで鼻づまりが改善され、2週間でくしゃみや鼻漏にも効果が出始めます。4週間以上の継続的な服薬で、症状がさらに改善されることが確認されています。

 

使用時の注意点

ラマトロバンは血小板凝集能を抑制するため、抗血小板薬や血栓溶解薬、抗凝固薬との併用には注意が必要です。また、サリチル酸系製剤やテオフィリン製剤との相互作用もありますので、使用前に必ず医師に相談してください。

副作用としては、肝機能障害、腹痛、頭痛・頭重、出血傾向などが報告されています。市販後調査では重篤な事象は確認されていませんが、使用時には注意が必要です。

 

まとめ

花粉症の治療薬には多くの種類があり、それぞれが異なる特徴を持っています。ラマトロバンをはじめとしたプロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬は、特に鼻づまりに効果的で、長期的な服薬によってさらに症状の改善が期待できます。しかし、使用に際しては、他の薬との相互作用や副作用に注意し、医師と相談しながら使用することが重要です。

花粉症の症状にお悩みの方は、ぜひ一度、当院(くまのまえファミリークリニック)にご相談いただき、最適な治療法を見つけていただければと思います。

 

参考文献

1. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会、鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会編:『鼻アレルギー診療ガイドラ

      イン – 通年性鼻炎と花粉症 – 2024年版 改訂第10版』、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会、2024年。

2. 石川 哮 ほか: 通年性鼻アレルギーに対するラマトロバン (BAYu3405) の長期投与試験. 臨床医薬 1997; 13: 183-204.

3. Terada N, et al.: The effect of ramatroban (BAYu3405), a thromboxane A2 receptor antagonist, on nasal cavity volume and

       minimum cross-sectional area and nasal mucosal hemodynamics after nasal mucosal allergen challenge in patients with

       perennial allergic rhinitis. Acta Otolaryngol (Stockh) 1998; 537(Suppl.): 32-37.

4. Sugimoto H, et al.: An orally bioavailable small molecule antagonist of CRTH2, ramatroban (BAYu3405), inhibits

      prostaglandin D2-induced eosinophil migration in vitro. J Pharmacol Exp Ther 2003; 505: 347-352.

5. 今川 亘 ほか: アレルギー性鼻炎に対するラマトロバン(バイナス®錠)の市販後調査 – 使用調査 -. アレルギーの臨床

      2008; 28: 977-987.

 

アレルギー性鼻炎についての、過去のくまのまえブログは下記を参照してください。

①「採血なしで、30分で41種類のアレルギーがわかる!最新のアレルギー検査「ドロップスクリーン」のご紹介」。

②「アレルギー性鼻炎:定義と分類」。

③「アレルギー性鼻炎:発症のメカニズム」。

④「アレルギー性鼻炎:検査・診断」。

⑤「アレルギー性鼻炎:治療(総論)」。

⑥「アレルギー性鼻炎 :治療(各論)~ヒスタミンH1受容体拮抗薬の役割~

⑦「アレルギー性鼻炎 :治療(各論)~ロイコトリエン受容体拮抗薬~

 

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