📌胃酸をしっかり抑える選択肢「P-CAB」とは?
こんにちは。当院のブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、逆流性食道炎や胃潰瘍などの治療において使用されているP-CAB(カリウムチャネル競合型胃酸抑制薬)についてご紹介いたします。
💊胃酸を抑える薬には3種類あります
胃酸分泌を抑制する薬には、次の3種類があります。
1. H2RA(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)
例:ファモチジン(ガスター®)、シメチジン(タガメット®)、ニザチジン(アシノン®)
2. PPI(プロトンポンプ阻害薬)
例:オメプラゾール(オメプラール®)、ランソプラゾール(タケプロン®)、ラベプラゾール(パリエット®)など
3. P-CAB(カリウムチャネル競合型胃酸抑制薬)
現在日本で使用されているのはボノプラザン(タケキャブ®)です。
P-CABは、従来の薬に比べてより速く・より強力に胃酸を抑えることができる新しいタイプの治療薬です。
🧪 P-CABの作用機序と特徴
PPIは胃壁細胞の「プロトンポンプ(H⁺,K⁺-ATPase)」を不可逆的に阻害しますが、
P-CABはカリウム(K⁺)と競合することでこのプロトンポンプを阻害します(表1)。
( 表1) 作用機序
医學事始より引用
これにより、P-CABには以下のような特長があります:
● 即効性が高い:服用から約3時間で効果が出始めます
● 強力な胃酸抑制効果:夜間の胃酸分泌にも対応
● 食事の影響を受けにくい:酸性環境下でも安定
● ピロリ菌除菌率が高い:PPI併用時よりも成功率が高いとされます
● 逆流性食道炎(グレードC・D)にも高い治癒効果
さらに、P-CAB内服により胃内pHが上昇し、血清ガストリン・ペプシノゲン濃度も高くなる傾向が見られます。
📚 試験問題から学ぶ!P-CABのポイント
日本消化器病学会専門医認定試験(2019年)出題例:
*P-CABについて正しいものを2つ選べ。
選択肢:
a. PPIに比べて酸性環境下でも安定である。
b. NSAIDs潰瘍再発予防効果は認められていない。
c. 血清ペプシノゲン濃度への影響はPPIよりも小さい
d. H.pyloriの1次除菌に用いた場合の除菌率はPPIによる1次除菌と同等である。
e. ロサンゼルス分類のグレードC,DのGERDに対しPPIよりも高い治癒率を示す。
正解:a, e
💡 P-CABの適応症
P-CABは、以下のような消化器疾患に対して使用されます:
● 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)
● 逆流性食道炎(GERD)
● NSAIDsやアスピリンによる潰瘍の予防
● ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法
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当院では、日本消化器病学会認定の専門医が在籍しており、
患者さま一人ひとりの症状や生活背景に合わせて最適な治療をご提案いたします。
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