🧠 令和8年度 第1回かかりつけ医等心の健康対応力向上研修に参加しました
2026年9月12日(土)、名古屋市医師会館で開催された
「令和8年度 第1回かかりつけ医等心の健康対応力向上研修(医師対象[成人Ⅰ])」
に参加してきました。
📅 開催日:2026年9月12日(土)
⏰ 時間:14:00~17:05
🏢 会場:名古屋市医師会館 6階講堂
今回の研修では、
うつ病、自殺予防、アルコール依存、睡眠障害、身体疾患とうつ病の関係、復職支援、地域での自殺対策など、
日々の診療にも深く関係する内容について学びました。

👨⚕️ うつ病について改めて学びました
前半の講師は、
精神科部長 竹内 浩先生
です。
研修は、
Ⅰ「基礎知識」編
Ⅱ「診断・治療」編
Ⅲ「睡眠障害」編
Ⅳ「連携・実践」編
という構成で行われました。
📚 Ⅰ「基礎知識」編
🧠 うつ病と自殺の関係
うつ病について考えるうえで、自殺対策は非常に重要なテーマです。
研修では、令和6年の全国の自殺者数は20,320人であり、
原因・動機として「健康問題」が多くを占めていることが紹介されました。
身体の健康だけでなく、「こころの不調を早い段階で見つけること」も、
かかりつけ医の大切な役割だと改めて感じました。
🍺 アルコールとうつ病には深い関係があります
アルコール依存症とうつ病は、互いに関連することが知られています。
研修では、
うつ病の方にアルコール依存症を合併:約21%
一般住民でのアルコール依存症:約7%
という報告が紹介されました。
反対に、
アルコール依存症の方では約27.9%にうつ病が合併し、
非依存症と比較してうつ病を合併するオッズが3.9倍という報告もあります。
「眠れないからお酒を飲む」
「気分がつらいので飲酒量が増える」
ということもありますが、
アルコールが睡眠や抑うつ症状をさらに悪化させてしまうことがあります。
🩺 Ⅱ「診断・治療」編
👦👩👨👴 うつ病は誰にでも起こり得ます
うつ病は特定の人だけがなる病気ではありません。
どの年齢でも発症する可能性があり、小学生でもうつ病と診断されることがあります。
30~50歳代に多いとされていますが、最近では若い世代のこころの健康も重要な課題となっています。
うつ病では、脳内の神経伝達や神経可塑性など、さまざまな変化が関係していると考えられています。
以前から知られているモノアミン仮説だけでなく、神経栄養因子や神経可塑性などについても研究が進んでいます。
単純に「気持ちが弱い」「考えすぎ」といった問題ではなく、
医学的な評価と適切な治療が必要となる状態です。
🔍 うつ病に似た病気を見分けることも重要
うつ症状があるからといって、すべてが同じ「うつ病」とは限りません。
診断にはDSM-5やICD-10などの診断基準を参考にしながら、
症状や経過、身体疾患、服薬状況などを総合的に確認します。
例えば、
● 双極性障害
● 持続性抑うつ障害(気分変調症)
● 適応障害
● 不安障害
などでも、うつ症状がみられることがあります。
特に双極性障害とうつ病では治療方法が異なるため、
これまでに躁状態・軽躁状態がなかったかを確認することも重要です。
また、産後のこころの状態を評価する方法として、
エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)などが用いられています。
💊 うつ病にはどのような治療がある?
研修では、2025年に全面改訂された「日本うつ病学会 うつ病診療ガイドライン2025」についても紹介されました。
治療では患者さんの状態や重症度、ライフステージなどを考慮します。
🛌 休養
まず大切なのは、心身ともに十分に休める環境を整えることです。
無理に「元気を出そう」「頑張ろう」とするのではなく、回復のための時間を確保します。
💊 薬物療法
状態に応じて抗うつ薬などを使用します。
抗うつ薬は通常、少量から開始して状態を確認しながら調整します。
効果を実感するまでには一定の時間が必要です。
不安や焦燥、不眠、妄想などが強い場合には、
それぞれの症状に応じた薬剤を併用することがあります。
また、近年では作用機序の異なる新しい治療薬も登場しています。
🗣️ 精神療法
薬だけではなく、
認知療法・認知行動療法
対人関係療法
問題解決技法
などの精神療法も重要です。
さらに症状や重症度によっては、
⚡ 修正型電気けいれん療法(mECT)
🧲 経頭蓋磁気刺激療法(TMS)
などが検討されることもあります。
🌙 Ⅲ「睡眠障害」編
今回の研修では、日常診療で非常によく相談を受ける「不眠」についても詳しく学びました。
不眠には、
🌙 入眠困難:なかなか眠れない
🌃 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
🌅 早朝覚醒:予定より早く目が覚めてしまう
😴 熟眠困難:眠ったはずなのに熟睡感がない
などがあります。
不眠の原因は一つではありません。
身体疾患、生活習慣、心理的ストレス、精神疾患、薬剤など、さまざまな原因を考える必要があります。
🛏️ 「眠れない=すぐ睡眠薬」ではありません
睡眠障害では、まず原因を確認し、可能であればその原因を取り除くことが重要です。
非薬物療法として、
🌙 睡眠についての正しい知識を身につける
⏰ 睡眠・覚醒リズムを整える
🛏️ 刺激制限療法
⌛ 睡眠制限療法
🧘 リラックス訓練
などがあります。
睡眠薬には、
● GABA受容体に作用する薬
● メラトニン受容体作動薬
● オレキシン受容体拮抗薬
など、異なるタイプがあります。
一方で、薬によっては眠気、ふらつき、転倒、記憶への影響などの副作用に注意が必要です。
特に複数の睡眠薬を使用している場合や、ご高齢の方では慎重な評価が必要です。
⚠️ 睡眠薬を自己判断で急に中止しないでください
特に一部のベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬を長期間使用している場合には、
● 認知機能への影響
● 依存
● せん妄
● 中止した際の反跳性不眠
などが問題になることがあります。
ただし、長く飲んでいる薬を自己判断で突然中止することもおすすめできません。
減量が必要な場合には、患者さんの状態を確認しながら少しずつ減量するなど、適切な方法を選択します。
🤝 Ⅳ「連携・実践」編
🌱 うつ病の回復は「三寒四温」
今回とても印象に残った言葉の一つが、
「うつ病の経過は三寒四温」
という表現です。
うつ病は一直線に良くなるとは限りません。
「昨日は調子が良かったのに、今日はつらい」
というように、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していくことがあります。
研修では、うつ病の2~4割では改善までに1年以上かかることがあることも紹介されました。
そのため、一時的な症状の変化だけに振り回されず、長い目で経過をみていくことが大切です。
🏢 「病気の回復」と「社会生活への復帰」は同じではありません
症状が改善してきたからといって、すぐに以前と同じように仕事ができるとは限りません。
復職に際しては、
🏢 リハビリ出勤
🤝 リワーク・デイケア
📋 復職プログラム
などを活用しながら、段階的に社会生活へ戻っていく方法があります。
焦らず、生活リズムを取り戻していくことが重要です。
❤️ 身体の病気とうつ病は密接に関係しています
今回、かかりつけ医として特に重要だと感じたのが、身体疾患とうつ病の関係です。
循環器疾患、消化器疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病などの慢性疾患を持つ方では、
慢性疾患のない方と比較して、うつ病を併存する頻度が高いことが報告されています。
さらに、うつ病を併存することで身体疾患の治療や生活習慣の管理にも影響する可能性があります。
内科などを受診される患者さんの中にも、
「最近何をするにもおっくう」
「夜眠れない」
「食欲がない」
「以前楽しめたことが楽しめない」
といった症状が隠れていることがあります。
身体だけではなく、こころの変化にも気づくこと。
これも「かかりつけ医」の大切な役割だと感じました。
👶 産後うつにも注意が必要です
研修では産後うつについても学びました。
出産後はホルモンバランスだけでなく、睡眠不足、育児への不安、生活環境の変化などが重なります。
産後うつは決して珍しいものではありません。
「赤ちゃんが生まれたのだから幸せなはず」と一人で抱え込まず、
気分の落ち込みや不安、不眠などが続く場合には、周囲や医療機関へ相談することが大切です。
🏙️ 名古屋市の自殺対策についても学びました
後半は、
名古屋市健康福祉局 健康部健康増進課
主事 坂井 和樹 氏
より、名古屋市における自殺対策について説明がありました。
名古屋市では、
「いのちの支援なごやプラン(第2次)」
に基づき、令和5年度から令和9年度までの5年間、自殺対策を進めています。
研修では、令和7年の名古屋市の自殺者数は349人であったことも紹介されました。
取り組みの柱は、
① 自殺予防
② 自殺防止
③ 自死遺族に対する支援
の3つです。
「こころの絆創膏キャンペーン」
「こころの健康フェスタなごや」
「こころの絆創膏」
のウェブサイト・アプリなどを通じた啓発活動に加え、
ゲートキーパー研修やこころの健康無料相談、自殺ハイリスク者への支援、SNSを活用した地域連携など、
さまざまな取り組みが行われています。
また、子ども・若者への支援や、自死遺族への相談・カウンセリングなども行われています。
🩺 かかりつけ医だからこそ気づける「こころのサイン」
今回の研修を通して改めて感じたのは、
こころの病気は精神科だけで見つかるものではないということです。
「眠れない」
「食欲がない」
「頭が痛い」
「お腹の調子が悪い」
「動悸がする」
「何となく体がだるい」
このような身体症状をきっかけに、内科やかかりつけ医を受診されることもあります。
その背景に、ストレスや不安、うつ病などが隠れていることもあります。
もちろん、まず身体の病気がないかをしっかり確認することが大切です。
そのうえで必要に応じてこころの状態にも目を向け、
専門的な診療が必要と判断した場合には、
精神科・心療内科などの専門医療機関や地域の支援機関へ適切につないでいくことも、
かかりつけ医の重要な役割です。
✨ まとめ
今回の「令和8年度 第1回かかりつけ医等心の健康対応力向上研修」では、
🧠 うつ病の基礎知識
🍺 アルコールとうつ病
❤️ 身体疾患とうつ病
💊 うつ病の診断・治療
🌙 睡眠障害
🤝 復職・社会復帰支援
🏙️ 名古屋市の自殺対策
など、幅広い内容を学ぶことができました。
当院では、小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い世代の患者さんを診療しています。
日々の診療では、血圧や血糖値、胃腸の症状など「身体」を診ることはもちろんですが、
その背景にある睡眠、ストレス、生活環境、こころの状態にも目を向けることが大切だと考えています。
今回の研修で得た知識を、これからの地域医療・日々の診療にしっかりと活かしていきたいと思います。
気分の落ち込みや不眠、不安などが続いている場合には、一人で抱え込まず医療機関へご相談ください。
早めにくまのまえファミリークリニックへご相談ください。
📍 くまのまえファミリークリニック
📞 TEL:052-876-3351
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