くまのまえブログ

🩺機能性ディスペプシア(FD)とは?① 原因・症状をわかりやすく解説

「胃カメラでは異常なしと言われたのに、胃もたれが治らない…」

「少し食べただけでお腹がいっぱいになる…」

「みぞおちが痛いのに検査では何も見つからない…」

このような症状で悩まれている方はいらっしゃいませんか?

その症状は機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)かもしれません。

 

以前は「慢性胃炎」「ストレス性胃炎」「胃下垂」などと診断されることも多かった病気ですが、

現在では胃や十二指腸の働き(機能)“の異常によって起こる病気として広く知られるようになりました。

 

日本では2013年から保険診療の対象となり、現在では消化器内科で最もよく診療する病気の一つです。

健康診断を受けた方のおよそ10人に1人、胃の症状で医療機関を受診された方では約半数

機能性ディスペプシアと報告されており、決して珍しい病気ではありません。

 

また近年は、仕事や学校生活、人間関係などによるストレスや生活習慣の変化を背景に、

機能性ディスペプシアと診断される方が増えています。

放置すると食事が十分に摂れなくなったり、日常生活や仕事・学業に支障をきたしたりすることも少なくありません。

 

今回は、

✅ 機能性ディスペプシアとはどんな病気?

✅ なぜ起こるの?

✅ どんな症状がある?

✅ セルフチェック方法

について、消化器内視鏡専門医がわかりやすく解説します。

 

 

 

🩺機能性ディスペプシア(FD)とは?

機能性ディスペプシア(FD)は、

胃カメラや血液検査などを行っても、胃潰瘍・胃がん・十二指腸潰瘍などの明らかな胃や十二指腸の病気が

見つからないにもかかわらず、胃の不快な症状が慢性的に続く病気です。

 

「検査で異常がない」と言われると、

「気のせいなのでは?」

「ストレスだけが原因なのでは?」

と不安になる方も少なくありません。

 

しかし、決して気のせいではありません。

FDでは、胃そのものに傷や炎症がなくても、胃の運動機能や神経の働きが乱れることで、

本当につらい症状が現れることが分かっています。

 

胃には、

🍚 食べ物を受け入れる

🍚 一時的にためる

🍚 消化する

🍚 少しずつ十二指腸へ送り出す

という重要な役割があります。

この一連の流れがスムーズに行われることで、私たちは快適に食事をすることができます。

 

しかしFDでは、この胃本来の働きが低下してしまうため、

● 食べても胃が動かない

● 少量で満腹になる

● 胃が張る

● 食後に苦しくなる

● 胃もたれが続く

といった症状が現れます。

患者さんにとっては食事を楽しめなくなり、生活の質(QOL)が大きく低下してしまう病気です。

 

🩺なぜ機能性ディスペプシアは起こるの?

機能性ディスペプシアは、胃そのものに異常がある病気ではありません。

現在では、胃をコントロールしている自律神経の乱れを中心に、

な要因が複雑に関係して発症すると考えられています。

 

① 自律神経の乱れ(最も重要な原因)

胃の働きは、自律神経によってコントロールされています。

自律神経には、

🔵 交感神経

🟢 副交感神経

の2つがあります。

 

🔵交感神経

交感神経は、

● 緊張しているとき

● ストレスを感じているとき

● 運動中

に優位となり、

胃や腸の動きを抑える働きがあります。

 

🟢副交感神経

一方、副交感神経は、

● リラックスしているとき

● 食事中

● 睡眠中

に優位となり、

胃を活発に動かし、消化を助ける働きをしています。

 

ところが、

仕事や学校、人間関係などによるストレスが長期間続くと、

交感神経ばかりが働き、

本来食事中に活発になるはずの副交感神経の働きが弱くなります。

その結果、

胃の動きが低下し、

● 食後の胃もたれ

● 少量で満腹になる

● 胃の痛み

● 吐き気

などの症状が現れるようになります。

 

つまり、ストレスによって胃を動かす副交感神経が十分に働かなくなることが

FDの大きな原因の一つと考えられています。

 

最近では「脳腸相関(Brain-Gut Axis)」という考え方も注目されています。

脳がストレスを感じると胃腸の働きも低下し、逆に胃腸の不調が続くことで

脳にもストレスが伝わるという悪循環が生じることが分かっています。

 

② 胃本来の動き(協調運動)が乱れる

通常、食べ物が胃に入ると、

胃の上部(約1/3)はやわらかく広がり、食べ物を受け入れます。

一方、胃の下部(約2/3)は規則正しく収縮し、食べ物を十二指腸へ送り出します。

ところがFDでは、この協調運動がうまく働きません。

本来広がるはずの胃の上部が十分に広がらず、

少し食べただけで

「もうお腹いっぱい」

と感じてしまいます。

 

さらに、本来活発に動く胃の下部の動きも低下するため、

食べ物が長時間胃の中に残り、

食後の胃もたれやお腹の張り、吐き気などの症状が現れます。

 

また、胃の中に食べ物が長く残ることで胃酸の分泌も続き、

みぞおちの痛みや胃が焼けるような感じ(心窩部灼熱感)の原因になることがあります。

 

③ 胃が敏感になっている(内臓知覚過敏)

FDでは、胃の神経が敏感になっていることがあります。

通常なら痛みを感じない程度の刺激でも、

胃が強い痛みや違和感として感じてしまいます。

これを内臓知覚過敏と呼びます。

 

④ ピロリ菌感染や感染後の変化

ピロリ菌に感染している方では、

除菌治療によって症状が改善することがあります。

また、

感染性胃腸炎のあとに発症する

感染後機能性ディスペプシア

も知られています。

 

⑤ 生活習慣

次のような生活習慣も症状を悪化させます。

● 暴飲暴食

● 高脂肪食

● アルコール

● 喫煙

● 睡眠不足

● 不規則な生活

● 運動不足

生活習慣を見直すだけでも症状が改善する方は少なくありません。

 

🌱若い方にも多い病気です

機能性ディスペプシアはどの年代にもみられますが、

思春期から若年成人(中学生・高校生・大学生など)で発症することも少なくありません。

成長期は自律神経のバランスがまだ安定しておらず、学校生活や受験、人間関係などのストレスも重なるため、

症状が現れやすいと考えられています。

一方で、働き盛りの世代や高齢の方にも多くみられ、年齢を問わず適切な診断と治療が大切です。

 

🩺機能性ディスペプシアの主な症状

FDの症状は患者さんによってさまざまですが、代表的な症状は次のとおりです。

✅ 食後の胃もたれ

✅ 少し食べただけですぐ満腹になる

✅ みぞおちの痛み

✅ みぞおちが焼ける感じ

✅ 胃が重い

✅ 胃が張る

✅ げっぷが多い

✅ 吐き気

✅ 食欲がない

✅ のどのつかえ感

患者さんによっては、

倦怠感、肩こり、不眠、冷え、不安感などを伴うこともあります。

 

🩺FDには2つのタイプがあります

機能性ディスペプシアは、大きく2つのタイプに分類されます。

 

🍚食後愁訴症候群(PDS)

食後に症状が出やすいタイプです。

主な症状

● 食後の胃もたれ

● 少量で満腹になる

● 食後のお腹の張り

胃の動きの低下が主な原因と考えられています。

 

🔥心窩部痛症候群(EPS)

みぞおちの痛みや胃が焼ける感じが中心となるタイプです。

主な症状

● みぞおちの痛み

● 胃が焼ける感じ

● 空腹時にも痛むことがある

胃酸や内臓知覚過敏が関係していると考えられ、PPIやP-CABなどの胃酸を抑える薬が有効な場合があります。

実際にはPDSとEPSの両方の症状をあわせ持つ患者さんも多く、症状に応じて治療を組み合わせていきます。

 

🩺「機能性ディスペプシアかも?」セルフチェック

次の項目に当てはまるものはありませんか?

☐ 食後に胃もたれることが多い

☐ 少し食べただけですぐ満腹になる

☐ みぞおちが痛むことがある

☐ 胃が焼けるような感じがする

☐ 胃が張りやすい

☐ げっぷが多い

☐ 吐き気がある

☐ 食欲がわかない

☐ 胃カメラでは異常がないと言われた

☐ 症状が数か月以上続いている

 

いくつか当てはまる方は、機能性ディスペプシアの可能性があります。

ただし、これらの症状は、

● 胃潰瘍

● 十二指腸潰瘍

● 胃がん

● 逆流性食道炎

● 胆石症

● 胆のう炎

● 慢性膵炎

● 膵がん

などでもみられることがあります。

そのため、「胃もたれだからFDだろう」と自己判断せず、一度消化器内科で相談することをおすすめします。

 

🚨こんな症状がある場合は早めに受診しましょう

次のような症状がある場合は、機能性ディスペプシア以外の病気が隠れている可能性があります。

🔴 体重が急激に減っている

🔴 黒い便(タール便)が出る

🔴 吐血した

🔴 食事がほとんど摂れない

🔴 強い腹痛が続く

🔴 貧血を指摘された

🔴 50歳以上で初めて症状が出た

🔴 胃がんの家族歴がある

このような場合は、早めの胃カメラ検査をおすすめします。

 

🩺機能性ディスペプシアは「気のせい」ではありません

胃カメラで異常が見つからないと、

「気のせいですよ。」

「ストレスでしょう。」

と言われ、不安になる患者さんも少なくありません。

しかし現在では、

機能性ディスペプシアは胃の運動機能や神経の働き、自律神経のバランスが乱れることで起こる病気

であることが明らかになっています。

つまり、

症状は決して気のせいではありません。

適切な診断を受け、ご自身の症状に合った治療を行うことで、多くの患者さんは症状の改善が期待できます。

「検査で異常がないから仕方ない」と諦めず、お気軽にご相談ください。

 

📝まとめ

機能性ディスペプシア(FD)は、

胃カメラでは異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれやみぞおちの痛み、早期満腹感などの症状が続く病気です。

背景には、

✅ 胃の運動機能の低下

✅ 自律神経(特に副交感神経)の乱れ

✅ ストレス

✅ 内臓知覚過敏

✅ ピロリ菌感染

など、さまざまな要因が複雑に関係しています。

 

「異常がないから大丈夫」

ではなく、

適切な診断と治療によって改善が期待できる病気です。

胃もたれや胃痛が長く続く方は、一人で悩まず、ぜひ消化器内科へご相談ください。

 

📖患者さんにおすすめの資料

機能性ディスペプシアについて、さらに詳しく知りたい方には、以下の資料も参考になります。

患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023

編集:日本消化器病学会  協力学会:日本消化管学会・日本神経消化器病学会

患者さんやご家族向けに、機能性ディスペプシアの症状・検査・治療についてわかりやすくまとめられています。

 

📚次回予告【第2回】

🩺機能性ディスペプシア(FD)とは?② 検査・胃カメラ・治療法をわかりやすく解説

「胃カメラでは何を調べるの?」

「本当に胃カメラは必要なの?」

「どんな薬で治療するの?」

「胃酸を抑える薬と胃を動かす薬の違いは?」

「漢方薬は効果があるの?」

 

第2回では、

✅ 胃カメラが必要な理由

✅ FDと間違えやすい病気

✅ 当院で行っている検査

✅ ピロリ菌との関係

✅ 胃酸を抑える薬(PPI・P-CAB)

✅ 胃の動きを改善する薬(アコチアミドなど)

✅ 漢方薬を含めた最新の治療法

について、消化器病専門医・消化器内視鏡専門医が詳しく解説します。

ぜひ第2回もご覧ください。

 

 

🏥くまのまえファミリークリニック

胃腸の不調と真摯に向き合う、確かな技術とあたたかい医療。

「胃カメラでは異常がないと言われたけれど、症状が続いている…」

「胃薬を飲んでもなかなか改善しない…」

そんなお悩みはありませんか?

当院では、苦痛の少ない胃カメラ検査(経鼻内視鏡・鎮静内視鏡)を行い、

機能性ディスペプシアをはじめとした胃腸の病気を専門的に診療しています。

患者さん一人ひとりのお話を丁寧に伺い、症状や生活背景に合わせた最適な治療をご提案いたします。

 

📍 くまのまえファミリークリニック

✨あなたにとっての「内視鏡のスペシャル・ワン」が、ここにいます。

📞 TEL:052-876-3351

🏠 〒458-0802 愛知県名古屋市緑区兵庫1-411-2

🌐 WEB予約はこちら

くまのまえファミリークリニック