🩺 苦痛の少ない大腸カメラの秘密 ~「軸保持短縮法」とは?~
「大腸カメラは痛い」
「以前の検査がつらくて、もう受けたくない…」
このような不安をお持ちの患者さんは少なくありません。
しかし、実は大腸内視鏡検査の苦痛は、内視鏡をどのように挿入するか(挿入技術)によって大きく変わります。
当院で多くの患者さんに大腸内視鏡検査を選んでいただいている理由の一つが「軸保持短縮法(じくほじたんしゅくほう)」
という高度な挿入技術です。

🔍 軸保持短縮法とは?
通常、腸の曲がりに沿って無理にカメラを押し進めると、腸が伸ばされて「ループ」と呼ばれるたるみができ、痛みの原因
になります。
一方、軸保持短縮法では、
✅ 腸のひだを丁寧にたぐる
✅ 腸をできるだけ伸ばさない
✅ 内視鏡をまっすぐな状態で進める
という操作を行い、腸への負担を最小限にしながら挿入する方法です。
特にS状結腸は複雑に曲がっているため、この部位をいかに優しく通過できるかが、苦痛の少ない大腸カメラの鍵になりま
す。
📊 軸保持短縮法とループ形成法の違い
|
項目 |
軸保持短縮法 |
ループ形成法 |
|
腸の状態 |
まっすぐ短縮した状態 |
腸が伸びてループ形成 |
|
痛み |
少ない |
強くなることがある |
|
挿入方法 |
回旋操作主体で丁寧に進める |
押し込みが主体になりやすい |
|
患者さんへの負担 |
少ない |
増える場合がある |
👨⚕️ 軸保持短縮法の歴史
この方法は、大腸内視鏡分野の第一人者である昭和大学横浜市北部病院の工藤進英先生が確立された挿入技術です。
痛みを大幅に軽減できるだけでなく、大腸の一番奥である盲腸まで到達できる確率が高い、非常に優れた方法とされてい
す。
⚠️ ただし、どんな名医でも100%成功するわけではありません
実は、内視鏡専門医が行っても、軸保持短縮法が可能な割合は約60〜80%程度とされています。
では、どのような場合に難しくなるのでしょうか?
① 腸の癒着がある場合
婦人科手術や腹部手術後では、腸同士や周囲の組織がくっついていることがあります。
また、大腸憩室が多い方でも、腸の動きが制限されることがあります。
このような場合、腸のひだをたぐる操作が困難になります。
② 痩せ型の女性でS状結腸が複雑な場合
痩せ型の女性では、狭い骨盤内にS状結腸が折りたたまれていることがあります。
そのため、腸を短縮しながら進めることが難しいことがあります。
③ 高齢者や肥満体型で腸が長くたるんでいる場合
加齢や体型によって、S状結腸が長く伸びている場合があります。
その場合、腸を短縮させることが困難となります。

🧠 本当に上手な内視鏡医とは「こだわりすぎない」こと
軸保持短縮法は素晴らしい技術ですが、どの患者さんにも無理に行うべきものではありません。
難しい症例で長時間こだわると、かえって患者さんの負担が増えてしまいます。
そのため、
● 早い段階で難しいケースを見極める
● 必要に応じて鎮静剤・鎮痛剤を使用する
● ループ形成法に適切に切り替える
といった判断力も、内視鏡専門医の大切な技術です。
📝 軸保持短縮法の基本手順(専門的な内容)
① 直腸〜S状結腸入口部
● 空気を極力入れず、回旋操作を中心に挿入します。
② S状結腸
● 腸管内の空気を吸引し、押し込まず、腸のひだをたぐるように進めます。
③ 体位変換
● 仰向けになることで、S状結腸と下行結腸の曲がりが緩くなり、軸保持短縮法が可能となることがあります。
⭐ 苦痛の少ない大腸カメラで最も大切なこと
最も避けるべきことは、
「早く終わらせようとして無理に押し込むこと」
です。
無理な押し込みは、腸を過度に伸ばし、ループ形成や痛みの原因になります。
大切なのは、急がず、腸の形を理解しながら、優しく丁寧に進めることです。
🏥 以前、大腸カメラで痛い思いをされた方へ
「大腸カメラが怖い」
「以前の検査がとてもつらかった」
「できれば眠っている間に検査を受けたい」
そのような方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、軸保持短縮法による丁寧な挿入技術に加え、患者さんに合わせた鎮静剤・鎮痛剤を併用した苦痛の少ない大腸
内視鏡検査を心がけています。
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