💉 5種混合ワクチンとは?生後2か月から始まる大切な予防接種
赤ちゃんが生後2か月を迎えると、いよいよ本格的に予防接種が始まります。
B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチンなど、たくさんのワクチンがあるため、
「何のワクチンを接種しているの?」
「5種混合って、何が5種類なの?」
「以前の4種混合とは何が違うの?」
と疑問に思われる保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、2024年4月から定期接種として導入された「5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)」について、
できるだけわかりやすく解説します。

🧬 5種混合ワクチンとは?
5種混合ワクチンは、1本のワクチンで、
①ジフテリア
②百日せき
③破傷風
④ポリオ(急性灰白髄炎)
⑤Hib(ヒブ)感染症
という5つの感染症を予防するワクチンです。
正式には、
DPT-IPV-Hibワクチン
と呼ばれます。

つまり、これまで別々に接種していた複数のワクチンを1本にまとめることで、
赤ちゃんの注射回数を減らせるようになったワクチンです。
💉 4種混合ワクチンとは何が違うの?
以前は、
4種混合ワクチン
+
Hibワクチン
をそれぞれ接種していました。
4種混合ワクチンには、
ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ
の4つが含まれており、Hibは別の注射でした。
それが5種混合ワクチンでは、
4種混合+ Hib
が1本になっています。

赤ちゃんの予防接種では複数のワクチンを同時に接種することも多いため、
注射の本数を減らせることはお子さんだけでなく、保護者の方の負担軽減にもつながります。
🦠 5種混合ワクチンで予防する5つの病気
① 🫁 ジフテリア
ジフテリアは、ジフテリア菌によって起こる感染症です。
のどや鼻などに感染し、発熱や咽頭痛などの症状が現れます。
のどに厚い膜のようなものができる「偽膜」が特徴のひとつで、喉頭まで炎症が広がると、
● 声がかれる
● 犬が吠えるような咳
● 呼吸困難
などを引き起こすことがあります。
さらに、菌が作る毒素によって心臓や神経が障害され、
重症化すると命に関わることもあります。
日本では長い間患者報告がほとんどありませんが、
海外では現在も発生している地域があります。
ワクチンによって病気が少なくなっているからこそ、予防接種を継続することが大切です。
② 😷 百日せき
百日せきは、百日せき菌などによって起こる感染症です。
咳やくしゃみなどによる飛沫で感染します。
感染してから約1週間ほどは一般的な風邪とよく似ており、
「鼻水が出る」
「少し咳が出る」
程度から始まることがあります。
しかし徐々に咳が強くなり、
コンコンコンコン……と連続する激しい咳のあと、ヒューッと息を吸い込む
特徴的な咳がみられるようになることがあります。
特に注意したいのが、新生児や生後間もない乳児です。
小さな赤ちゃんでは典型的な咳がみられず、突然呼吸が止まる「無呼吸」から発症することもあります。
重症になると、
● 肺炎
● けいれん
● 脳症
● 低酸素状態
などを起こし、命に関わることもあります。
そのため、生後2か月になったらできるだけ予定通り接種を開始することが重要です。
③ 🩹 破傷風
破傷風は、土の中などに存在する破傷風菌が傷口から体内に侵入することで起こる感染症です。
人から人へうつる病気ではありません。
転倒したときの擦り傷や切り傷、刺し傷など、私たちの日常生活の中で感染する可能性があります。
破傷風菌が作る毒素が神経に作用すると、
● 口が開きにくい
● 飲み込みにくい
● 筋肉が硬くなる
● 全身の強いけいれん
などを引き起こします。
重症化すると呼吸に必要な筋肉までけいれんし、呼吸困難となることがあります。
破傷風菌そのものを生活環境から完全になくすことはできないため、
ワクチンによって免疫をつけておくことが非常に重要な病気です。
④ 🦵 ポリオ(急性灰白髄炎)
ポリオは、ポリオウイルスによる感染症で、「小児まひ」と呼ばれることもあります。
感染しても症状が出ないことが多い一方、一部では発熱や頭痛、嘔吐などを認めます。
さらにウイルスが神経に入り込むと、
腕や足に弛緩性の麻痺
を起こすことがあります。
一度起きた麻痺は、そのまま後遺症として残ってしまう場合があります。
また、呼吸に必要な筋肉が麻痺すると、人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもあります。
日本では野生株ポリオは長年発生していませんが、世界から完全に根絶された病気ではありません。
日本では以前、口から飲む「生ポリオワクチン」が使用されていましたが、
2012年から不活化ポリオワクチン(IPV)へ変更されています。
⑤ 🧠 Hib(ヒブ)感染症
Hibとは、
Haemophilus influenzae type b(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)
という細菌のことです。
ここで、とてもよくある誤解があります。
⚠️ Hibとインフルエンザウイルスは別物です!
名前に「インフルエンザ」と入っていますが、
冬に流行するインフルエンザウイルスとは、まったく異なります。
そのため、
Hibワクチンを接種しても、季節性インフルエンザを予防することはできません。
逆に、インフルエンザワクチンを接種してもHib感染症の予防にはなりません。
Hibは特に乳幼児で、
● 細菌性髄膜炎
● 菌血症、敗血症
● 肺炎
● 急性喉頭蓋炎
などの重い感染症を起こすことがあります。
特に細菌性髄膜炎は早期の診断が難しいことがあり、
治療しても難聴や神経学的な後遺症が残ることがあります。
しかし、Hibワクチンの普及によって、
日本でもHibによる侵襲性感染症は大幅に減少しました。
厚生労働省によると、Hibワクチン定期接種化前後の調査では、
5歳未満のインフルエンザ菌髄膜炎の罹患率は大幅に低下しています。
ワクチンの効果を実感しにくい感染症ですが、
実は予防接種によって大きく減らすことができた代表的な感染症のひとつなのです。
📅 5種混合ワクチンはいつ接種する?
5種混合ワクチンは、生後2か月から接種を開始し、合計4回接種します。
👶 まずは生後2か月から3回接種します
初回の3回は、20日以上、標準的には20~56日(3~8週間)の間隔をあけて接種します。
赤ちゃんの時期には、5種混合ワクチン以外にも、
B型肝炎ワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチンなど、複数の予防接種が必要になります。
当院では、予防接種の遅れを防ぎ、できるだけわかりやすいスケジュールで進められるよう、
B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチンなどと一緒に、28~30日ごとを目安とした同時接種をおすすめしています。

初回3回については、20日以上、標準的には20~56日(3~8週間)の間隔をあけて接種します。
4回目は、3回目終了後6か月以上、標準的には6~18か月の間隔をあけて接種します。
日本小児科学会では、4回目について、
「3回目から6か月以上あけ、1歳を超えたら早期に接種する」
ことを推奨しています。
当院でもお子さんのほかの予防接種スケジュールを確認しながら、適切な時期をご案内していきます。
👶 定期接種の対象年齢は?
5種混合ワクチンの定期接種対象は、
生後2か月から生後90か月(7歳6か月)未満
です。
ただし、標準的には生後2~7か月未満に初回接種を開始します。
赤ちゃんは月齢が低いほど百日せきやHib感染症などが重症化しやすいため、
⭐ 「接種可能になる生後2か月から始める」
ことがとても大切です。
💉 他のワクチンと同時接種
生後2か月になると、
● 5種混合
● 肺炎球菌
● B型肝炎
● ロタウイルス
など複数のワクチン接種が始まります。
「こんなに一度に接種して大丈夫ですか?」
と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、
5種混合ワクチンは他のワクチンとの同時接種が可能です。
同時接種を利用することで、接種の遅れを防ぎ、必要な時期に免疫をつけやすくなります。
💪 5種混合ワクチンは筋肉注射もできます
5種混合ワクチンでは、
皮下注射または筋肉注射
による接種が認められています。
筋肉注射の場合、乳児では主に、
🦵 太ももの外側(大腿前外側部)
に接種します。
1歳以上では、大腿部または上腕の三角筋に接種することがあります。
「赤ちゃんの足に注射するの?」
と驚かれることがありますが、海外でも乳児の予防接種では大腿部への筋肉注射は一般的に行われています。
🌡️ 接種後に起こりやすい副反応
5種混合ワクチン接種後には、
● 注射した場所が赤くなる
● 腫れる
● 硬くなる
● 痛みが出る
● 発熱する
などの症状がみられることがあります。
厚生労働省によると、
国内臨床試験では発熱や接種部位の赤み・硬結・腫脹などが比較的よく認められていますが、
5種混合ワクチンの安全性について大きな懸念は指摘されていません。
多くの場合は自然に軽快します。
🚑 こんな場合は医療機関へ相談してください
ワクチン接種後、
● ぐったりして元気がない
● 呼吸が苦しそう
● 顔色が明らかに悪い
● 全身にじんましんが出る
● 繰り返し嘔吐する
● けいれんがみられる
● 高熱が続く
● 接種した腕や足が非常に強く腫れる
など、いつもと明らかに違う症状がある場合には、医療機関へご相談ください。
特に、呼吸困難や意識状態がおかしいなど急激な症状がみられた場合には、速やかな対応が必要です。
🛁 接種した日の過ごし方は?
接種当日は普段通りの生活で問題ありません。
お風呂にも入っていただいて構いませんが、接種した部分を強くこすったり、もんだりする必要はありません。
また、接種直後は急なアレルギー反応などが起こる可能性があるため、お子さんの様子をよく観察してください。
🎒 5種混合を4回接種したら予防接種は終わり?
ここも大切なポイントです。
5種混合ワクチンは第1期として4回接種しますが、成長とともに免疫が低下する病気もあります。
日本では、ジフテリア・破傷風に対する追加免疫として、
11歳以上13歳未満に二種混合(DT)ワクチンを1回
接種する定期接種があります。
標準的な接種時期は11~12歳です。
また、日本小児科学会では百日せき予防の観点から、
5~6歳で三種混合(DPT)ワクチンを追加することも推奨していますが、こちらは現時点では任意接種です。
⚠️ 5種混合ワクチン自体は、就学前の5回目として使用することはできません。
将来的な追加接種については、年齢やこれまでの接種歴を確認しながら考えていきます。
❓ よくある質問
Q. 生後2か月になったらすぐ接種したほうがいいですか?
A. はい。できるだけ生後2か月から開始することをおすすめします。
特に百日せきやHib感染症は、月齢の低い赤ちゃんほど重症化する可能性があります。
接種可能な年齢になったら、予定通り予防接種を進めることが大切です。
Q. Hibはインフルエンザのことですか?
A. いいえ。まったく別の感染症です。
Hibは「ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型」という細菌です。
冬に流行するインフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。
名前が似ているだけで、別の病原体です。
Q. 5種混合と肺炎球菌ワクチンは同時に接種できますか?
A. 可能です。
生後2か月から複数の予防接種が始まるため、必要に応じて同時接種を行います。
🩺 まとめ|5種混合ワクチンは赤ちゃんを5つの感染症から守ります
5種混合ワクチンは、
ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hib感染症
という、赤ちゃんにとって重症化すると非常に危険な5つの病気を1本で予防できるワクチンです。
2024年4月から定期接種として導入されたことで、
従来の「4種混合+Hib」と比べて注射の本数を減らすことができるようになりました。
特に百日せきやHib感染症は、小さな赤ちゃんほど重症化しやすいため、
👶 生後2か月になったら予防接種をスタートしましょう。
📍 くまのまえファミリークリニックでは生後2か月から予防接種に対応しています
くまのまえファミリークリニックでは、生後2か月からの乳幼児予防接種に対応しております。
「次はどのワクチン?」
「同時接種しても大丈夫?」
「接種が少し遅れてしまったけれど、どうすればいい?」
「母子手帳を見てもスケジュールがよく分からない」
といったご相談にも対応いたします。
赤ちゃんの時期だけではなく、小児期・学童期・思春期まで、必要な予防接種を確認しながら、
成人するまでくまのまえファミリークリニックがサポートしていきます。
予防接種についてご不明な点がありましたら、早めにくまのまえファミリークリニックへご相談ください。
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