🩸 大腸憩室出血とは?②|突然の血便の原因・検査・治療・救急受診の目安を解説
🏥 突然、真っ赤な血便が出たことはありませんか?
「トイレに行ったら、便器が真っ赤になっていた!」
「お腹は痛くないのに、突然血便が出た」
「血便が出たけれど、しばらくしたら止まった。病院へ行かなくても大丈夫?」
このような経験をすると、誰でも驚き、不安になると思います。😟
突然の血便にはさまざまな原因がありますが、
その一つが大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)です。
大腸憩室出血は、
大腸の壁にできた小さな袋状のくぼみ「大腸憩室」の近くにある血管が傷つき、
出血する病気です。
特に、腹痛を伴わずに突然、大量の赤い血便が出ることがあるのが特徴です。
出血が自然に止まることもありますが、
再出血したり、
大量出血によって貧血や血圧低下を起こしたりする場合もあります。
そのため、「痛みがないから大丈夫」「血が止まったから安心」と自己判断しないことが大切です。
今回は、日本消化管学会の『大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026 改訂第2版』を参考に、
大腸憩室出血の原因・症状・検査・治療・再出血の注意点について、
消化器病専門医の立場からわかりやすく解説します。✨

🩸 ① 大腸憩室出血とは? なぜ突然血便が出るの?
大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出したものです。
大腸の壁には多くの血管が通っています。
憩室の周囲では、血管が薄い壁の近くを走っているため、
何らかの原因で血管が傷つくと、腸の中に出血することがあります。
これが大腸憩室出血です。
🔍 憩室がある人は、必ず出血するの?
いいえ。
大腸憩室がある方の多くは、出血することなく生活しています。
大腸カメラで憩室が見つかったからといって、必ず将来出血するわけではありません。
ただし、一度憩室出血を起こした方では、再出血する可能性があるため注意が必要です。
🔥 憩室炎とは何が違うの?
同じ大腸憩室に関連する病気でも、憩室出血と憩室炎では症状が異なります。
🩸 大腸憩室出血
血管から出血する病気で、突然の血便が主な症状です。
腹痛を伴わないことが多いのが特徴です。
🔥 大腸憩室炎
憩室とその周囲に炎症が起こる病気で、腹痛や発熱が主な症状です。
つまり、「血便が中心なのか」「腹痛・発熱が中心なのか」が、
両者を理解するうえで大切なポイントです。
ただし、症状だけで確実に区別できるわけではありません。
🚽 ② 大腸憩室出血の症状は? 腹痛がない血便に注意!
大腸憩室出血の代表的な症状は、突然の血便です。
🔴 ① 突然、赤い血便が出る
「便器の水が赤く染まった」
「便と一緒に血液が出た」
「血の塊のようなものが出た」
このような症状がみられることがあります。
出血した場所や出血量、腸の中を血液が通過する時間によって、血便の色は変わります。
鮮やかな赤色の場合もあれば、暗い赤色の場合もあります。
😮 ② お腹が痛くないことが多い
大腸憩室出血の特徴の一つは、腹痛を伴わないことが多い点です。
「お腹が痛くないのに、こんなに血が出るの?」
と驚かれる患者さんもいらっしゃいます。
しかし、腹痛がないからといって、軽い出血とは限りません。
💦 ③ 大量出血すると、全身に症状が出ることも
出血量が多い場合には、次のような症状が現れることがあります。
● 😵 めまい・ふらつき
● 💓 動悸
● 😰 冷や汗
● 😮💨 息切れ
● 🥶 顔色が悪くなる
● 🚨 意識が遠のく、倒れる
これらは、出血によって血液の循環が悪くなっている可能性を示す危険なサインです。
血便に加えて、ふらつき・冷や汗・意識が遠のくなどの症状がある場合には、
119番への連絡を含め、直ちに救急対応が必要です。
血便が出た場合、特に大切なのは、出血の量と全身状態です。
🔴 すぐに救急受診が必要な症状
次のような場合は、通常の外来診療を待たず、救急医療機関を受診してください。
🚨 便器が真っ赤になるほどの出血が続く
🚨 短時間に何度も大量の血便が出る
🚨 めまい・ふらつき・冷や汗がある
🚨 動悸が強い、息苦しい
🚨 顔色が悪い、意識が遠のく
🚨 血便とともに強い腹痛や著しい体調不良がある
特に、立っていられない、意識がもうろうとする、倒れそうになる場合には、
119番へ連絡してください。
出血が多いときやふらつきがあるときは、自分で車を運転して受診しないようにしましょう。
🟡 少量の血便でも受診が必要?
はい。
血便の原因には、
大腸憩室出血以外にも、
痔、大腸ポリープ、大腸がん、虚血性腸炎など、さまざまな病気があります。
見た目だけで原因を判断することはできません。
そのため、少量であっても、新たに血便が出た場合は、できるだけ早く医療機関へ相談してください。
特に、高齢の方や血液を固まりにくくする薬を服用している方では、注意が必要です。
🏥 ④ 大腸憩室出血は自然に止まることがある?
大腸憩室出血は、自然に止血することが少なくありません。
しかし、ここで注意したいことがあります。
それは、自然に血が止まったことと、原因が解決したことは同じではないという点です。
🔍 血が止まっても再出血することがある
一度出血が止まっても、同じ憩室や別の憩室から再び出血する場合があります。
また、最初は少量の血便でも、その後に出血量が増えることがあります。
したがって、
「昨日は血便が出たけれど、今日は出ていない」
という場合でも、医師に相談することが大切です。
特に、以前にも大腸憩室出血を起こしたことがある方は、再出血への注意が必要です。
💡 必ず入院が必要になるの?
すべての方が入院になるわけではありません。
2026年版ガイドラインでも、
患者さんの全身状態や出血の状況などを踏まえ、
入院の必要性を判断することが重要とされています。
出血が落ち着き、全身状態が安定している場合には、
外来で経過をみることが検討されるケースもあります。
一方、大量出血、貧血、血圧低下、再出血の危険性などがある場合には、
入院による管理が必要になることがあります。
「自然に止まったから入院も検査も不要」というわけではありません。
🔬 ⑤ 大腸憩室出血はどのような検査で診断するの?
大腸憩室出血が疑われる場合には、出血の程度や全身状態に応じて検査を行います。
🩺 ① 診察・血液検査
まず、血圧、脈拍、意識状態などを確認します。
血液検査では、主に貧血の程度などを調べます。
ただし、出血直後は血液検査で貧血が十分に反映されないこともあるため、
症状や時間経過を含めて判断します。
🖥️ ② 造影CT検査
造影剤を使用したCT検査では、出血している場所を推定できる場合があります。
特に、出血が続いている場合や大量出血が疑われる場合には、重要な検査の一つです。
ただし、出血が止まっている場合には、CTで出血部位を確認できないこともあります。
また、腎機能や造影剤へのアレルギーなどを考慮し、検査の適応を判断します。
📷 ③ 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸カメラでは、大腸の中を直接観察し、出血源を探します。
憩室から出血している場所を確認できれば、その場で止血処置を行える場合があります。
ただし、大腸憩室が複数ある場合には、どの憩室から出血したのか特定できないこともあります。
また、血便がある方すべてに、直ちに大腸カメラを行うわけではありません。
出血の程度、全身状態、CT検査の結果などを踏まえて、
安全性を優先しながら検査方法やタイミングを決めます。
📷 当院の大腸内視鏡検査について
当院ブログ
「🔍【2026年】当院で大腸内視鏡検査を選択する人が多い理由:苦痛の少ない大腸カメラとは」でも、
当院の大腸内視鏡検査の特徴について詳しくご紹介しています。
🩹 ⑥ 大腸憩室出血はどのように治療するの?
治療は、出血の程度や患者さんの全身状態によって異なります。
💧 ① 点滴・輸血などの全身管理
出血量が多い場合には、まず点滴などによって全身状態を安定させます。
貧血が強い場合や大量出血の場合には、輸血が必要になることもあります。
治療では、出血を止めることだけでなく、血圧や循環状態を安定させることも重要です。
📷 ② 大腸カメラによる止血治療
出血している憩室を確認できた場合には、大腸カメラを使って止血することがあります。
代表的な方法には、次のようなものがあります。
🔹 クリップ法
内視鏡用の小さなクリップを使い、出血している部分を挟んで止血する方法です。
🔹 結紮法(けっさつほう)
専用の器具を使い、出血している憩室を縛ることで止血する方法です。
輪ゴムのような器具を使う内視鏡的バンド結紮術(EBL)などがあります。
どの方法を選ぶかは、出血部位や憩室の状態、医療機関の設備などによって異なります。
🏥 ③ カテーテルによる治療
内視鏡による止血が難しい場合などには、
血管内に細い管(カテーテル)を入れ、出血している血管を塞ぐ治療が検討されることがあります。
これは血管塞栓術(けっかんそくせんじゅつ)と呼ばれる治療です。
🏥 ④ 手術が必要になることも
内視鏡治療や血管内治療でも出血をコントロールできない場合などには、
手術が検討されることがあります。
ただし、すべての大腸憩室出血で手術が必要になるわけではありません。
患者さんの状態に応じて、適切な治療方法を選択します。
大腸憩室出血を考えるうえで、服用している薬の確認は重要です。
💊 痛み止め(NSAIDs)
一部の鎮痛薬には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるものがあります。
例えば、ロキソプロフェンなどが代表的です。
これらの薬は、大腸憩室出血のリスクとの関連が指摘されています。
そのため、日常的に鎮痛薬を服用している方は、
薬の種類や使用頻度について医師に相談するとよいでしょう。
❤️ 抗血小板薬・抗凝固薬
心筋梗塞や脳梗塞、心房細動などの治療・予防のために、
血液を固まりにくくする薬を服用している方もいらっしゃいます。
これらの薬を使用している場合には、出血時の対応を慎重に判断する必要があります。
しかし、血便が出たからといって、自己判断で薬を中止してはいけません。
薬を中止することで、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気につながる可能性があるためです。
出血が起きた場合には、服用している薬を医療機関へ正確に伝え、医師の判断を受けてください。
大腸憩室出血は、一度止まっても再出血することがあります。
再出血のリスクは、これまでの出血歴や服用している薬、患者さんの状態などによって異なります。
🥗 食事で出血を予防できる?
「食物繊維をたくさん摂れば、憩室出血を防げますか?」
と質問されることがあります。
野菜や果物などをバランスよく摂ることは、腸の健康を保つうえで大切です。
しかし、
特定の食品や食事方法によって、大腸憩室出血を確実に予防できると証明されているわけではありません。
また、ゴマやナッツ類、トウモロコシなどを一律に避ける必要もありません。
🚶 日常生活で心がけたいこと
再出血を完全に防ぐ方法は確立されていませんが、健康管理のために次のようなことを意識しましょう。
● 🥗 バランスのよい食生活
● 💧 適切な水分補給
● 🚶 無理のない運動習慣
● 🚭 禁煙
● 💊 鎮痛薬や抗血栓薬の使用について医師に相談する
特に、過去に憩室出血を起こしたことがある方は、
再び血便が出たときにどう対応するか、あらかじめ確認しておくことが大切です。
Q1.腹痛がなくても大腸から出血することはありますか?
はい。
大腸憩室出血では、腹痛を伴わずに突然血便が出ることがあります。
ただし、腹痛がない血便の原因は憩室出血だけではありません。医療機関での評価が必要です。
Q2.血便が自然に止まったら、受診しなくても大丈夫ですか?
いいえ。
自然に止まることはありますが、再出血する場合があります。
また、大腸がんなど、別の病気が隠れている可能性もあるため、出血が止まっても医療機関へ相談してください。
Q3.痔による出血との違いはありますか?
痔でも赤い血が出ることがあります。
しかし、血の色や量だけで痔と憩室出血を確実に区別することはできません。
「以前から痔があるから、今回も痔だろう」と自己判断しないことが大切です。
Q4.大腸憩室出血は大腸がんですか?
大腸憩室出血そのものは、大腸がんではありません。
ただし、血便の原因として大腸がんが存在する可能性もあるため、必要に応じて検査を行います。
Q5.出血したら、必ず大腸カメラを受けますか?
必ずしも全員が直ちに大腸カメラを受けるわけではありません。
出血量や全身状態などに応じて、造影CT、大腸カメラ、入院管理などを組み合わせて判断します。
🏥 ⑩ 血便や大腸の症状が気になる方は当院へご相談ください
くまのまえファミリークリニックでは、
消化器病専門医が、血便や便通異常など、大腸に関するさまざまな症状についてご相談をお受けしています。
例えば、
「以前、大腸憩室があると言われた」
「少量の血便が出たが、今は止まっている」
「最近、便通が変わってきた」
「大腸ポリープや大腸がんが心配」
「一度、大腸カメラを受けてみたい」
といった方は、ご相談ください。😊
当院では、患者さんの不安や身体的な負担に配慮し、
できるだけ苦痛の少ない大腸内視鏡検査を心がけています。
ただし、
現在も多量の血便が続いている場合や、
ふらつき・冷や汗などがある場合は、
当院の通常外来を待たずに救急医療機関を受診してください。
また、診察や検査の結果、造影CT検査、緊急止血処置、輸血、入院治療などが必要と判断した場合には、
地域の総合病院と連携し、適切な医療につなげています。
大腸憩室出血について、今回のポイントをまとめます。
✅ 大腸憩室出血は、憩室の近くにある血管から出血する病気です。
✅ 腹痛がないのに、突然赤い血便が出ることがあります。
✅ 出血が自然に止まる場合もありますが、再出血することがあります。
✅ 大量出血では、めまい・ふらつき・血圧低下などを起こすことがあります。
✅ 必要に応じて、造影CTや大腸カメラによる検査・止血治療を行います。
✅ 血便が出た場合は、痛みがなくても自己判断せず、医療機関に相談することが大切です。
特に、
突然大量の血便が出た場合や、
ふらつき・冷や汗などを伴う場合には、
速やかな救急受診が必要です。
一方、
少量の血便であっても、
大腸憩室出血以外の病気が原因になっていることがあります。
血便や便通の変化など、大腸の健康について気になることがある方は、
早めにくまのまえファミリークリニックへご相談ください。😊
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🔍 第1回:大腸憩室とは?①
大腸憩室の原因・症状、
大腸ポリープとの違い、
食事や生活習慣で気をつけたいことについて解説しています。
🔥 次回予告|第3回は「大腸憩室炎」について解説します!
次回は、腹痛や発熱の原因となる大腸憩室炎について詳しく解説します。
🔥 大腸憩室炎はなぜ起こるの?
🔥 右下腹部や左下腹部が痛くなるのはなぜ?
🔥 虫垂炎(盲腸)とはどう違うの?
💊 抗菌薬(抗生物質)は必ず必要?
🏥 どのような場合に入院や手術が必要になるの?
2026年版ガイドラインで示された治療の考え方も含め、
患者さんにわかりやすくご紹介します。✨
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📚 参考資料
日本消化管学会編集『大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026 改訂第2版』(南江堂、2026年)




